ヤマネコヤナギ(山猫柳)
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2008/02/24(Sun)
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昨晩からの吹雪が朝まで続いて10㎝程積り、その後も一日中雪が舞っていました(-2.3~3.9℃)。
展望台の前の、ヤマネコヤナギ(ヤナギ科)の花穂が膨らんでいました。つい最近まで、赤い芽鱗が固そうに見えていましたが、何時の間にかふかふかの花が顔を出していたんですね。北海道西南部~本州の、山中の日当たりの良い場所に生育する落葉高木で、大きいものは高さ15m以上になります。名は、山に生えるネコヤナギの意で、別名のバッコヤナギは、白銀色の花穂を老婆(東北弁で「婆っこ」)の白髪に譬えたものの様ですね・・・ 三居沢の草原入口のマンサクが、ほぼ満開になっていましたよ(と言ってもこの木だけですが)・・・ ![]() ![]() |
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講演会「竜ノ口渓谷のなりたちと今」
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2008/02/20(Wed)
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きょうは、午後6時~9持に仙台市民活動サポートセンターで、 地質学専門家である松本秀明氏(東北学院大学地域構想学科教授)による「竜ノ口渓谷のなりたち」についての講演会が開催されました。「河川争奪」をキーワードにして、竜ノ口川が、何故あの様に深く切り立った峡谷になっているのかを、立体視画像等を使って解り易く解説して頂きました。主流と支流の河川争奪に因って造られた「化石谷」や渓谷自体は、それ程珍しいものではない様ですが、大都市部で見られる「大峡谷」としての貴重さ(希少な動植物が生育する豊かな自然の宝庫であると共に、類稀な美景観や貴重な化石群、見事な地層標本等の地学的宝庫である事)を実感する事ができました。仙台市に提出した、『オオタカの営巣地で計画されている地下鉄東西線「青葉山地区工事」についての質問状』と、それに対する市の回答についての検討は、時間が少なくて余りできませんでしたが、今後も皆さんのご意見を広く取り入れて、まずは3/9(日)の下記「意見交換会」に臨みましょう・・・
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コナアカミゴケ(粉赤実苔)
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2008/02/18(Mon)
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きょうは大体晴れて、割と暖かな一日でした。
原っぱの木杭の上に、コナアカミゴケ(ハナゴケ科)が生えていました。怪しげな宇宙生物の様にも見えますが、良く見ていると、ここが極北のツンドラで、何処からともなくトナカイの足音でも聞えてきそうでした。低山~高山の切株や倒木、岩上地上にも生育する地衣類です。長さ1~3cmの子柄は枝分かれせず、全体が粉芽と呼ばれる粒状体で覆われ、その先端には真冬でも鮮やかな赤い子器が付いています。地衣類は、藻類と菌類が共生しているもので、「コケ」とは言っても「コケ植物・蘚苔類」とは異なります。植物遷移の最初に現れる生物で、有機物の少ない岩肌にも張り付いて、土壌を作り出し他の生物の侵入を助けると言う、大切な働きをしています… その近くには、バッケ(蕗の薹)が花を開きかけていましたよ… ![]() ![]() |
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カモシカ(氈鹿、羚羊)
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2008/02/17(Sun)
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朝の内は雪が降りうっすら積もりましたが、午後は良く晴れました(-3.5~2.6℃)。
きょうも、カモシカのアオがいました。森の外れの草叢にどっかり座り込んで、こちらを気にもせず、ゆっくり反芻していました。カモシカは本州~九州のみに分布する日本固有種で、国指定特別天然記念物です。亜高山~低山の森に生息し、木の葉、草、笹等を選択的に採食します。青葉山では、角擦り痕の古さ等から言っても、大分以前から居た様ですが、1975年の東北自動車道完成後は余り観察記録がありませんでした。それが又頻繁に目撃されるようになり、特に2001年からは、毎年繁殖と周年生息が確認されています。青葉山は今、カモシカにはとても良い生息・繁殖環境にある様です。それは、①食べ物が豊富、②雪が少ない上に、林床に雪が積り難い針葉樹林も多く、冬季も食料を確保できる、③野犬等の天敵がいても逃げ場となる岩場やガレ場が多い、④休場(塒)となる樅等の大木や岩場がある、等であると考えられます。百万都市仙台のほぼ中心部にカモシカが暮している事は、この地が極めて豊かな森であるとの証です。毎年の様に子を生し育てて来た「アオ」の名は、青葉山から取られました。長生きして、いつまでも私達を見守っていて欲しいものですね… ![]() |
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樹液 と野鳥
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2008/02/16(Sat)
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きょうも時々雪は降りましたが、大体晴れました(-1.8~3.5℃)。
森のあちこちの木々から、樹液が流れ出していました。イタヤカエデやコハウチワカエデ等の、所謂メープルシロップは勿論、オニグルミからも汁が滴り落ちています。遠くから眺めていると、メジロやエナガの群れが次々にやって来て、美味しそうに吸っていました。後で舐めてみると、甘いジュースの様で、人気の秘密が分りました。木々は、春が近付くと芽吹きの準備で根から水を勢い良く吸い上げるのですが、カエデ等はその力が強く、樹皮に傷があるとそこから樹液が零れ出します。この樹液は甘いだけでなく、ビタミンやミネラル(特にカルシウムやカリウム等)を多く含むので、野鳥達の大切な栄養補給源になっている様ですね・・・ ![]() ![]() |
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ベニマシコ(紅猿子)
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2008/02/15(Fri)
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きょうは晴れ時々雪で、昨日までの風も收まって比較的暖かな一日でした(-0.4~3.9℃)。
何処からともなくピッポピッポと、口笛の樣な軽快な声が聞えて来たと思ったら、ベニマシコ(アトリ科)の小群がやって来ました。 皆夫々に草薮に入り込んで種子等を食べていましたが、木の幹で苔を突いている者もいました。漂鳥で、シベリア南部、中国東北等に分布。日本では、下北半島以北で繁殖し、冬は全国の落葉樹林の籔や水辺の芦原等で過し、青葉山でも、秋~春に普通に見られます。名は、雄の紅色の姿から、「猿の顔の様な子」の意ですが、雌は淡い黄褐色です・・・ 真冬なのに、雪中の切株から見事なエノキタケが出ていました。キノコって、一年中楽しめるんですよね・・・ ![]() ![]() |
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ホオノキ(朴の木)の芽
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2008/02/14(Thu)
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きょうは割と晴れて気温も上がりましたが、北風が吹き荒んで雪も飛び散り、寒い一日でした(-2.0~4.4℃)。
明るい小楢の森で、ホオノキ(モクレン科)の芽が大きく背伸びしていました。触って少し擦ると、モクレン科特有の爽やかな香りが広がりました。ホオノキは生長抑制物質(アレロケミカル)を多く持ち、樹下に他の植物が生え難いとも言われていますが(アレロパシー=他感作用)、この芳香は、何かそれに関係があるのでしょうか? それにしても、こんな鞘の中に、あの大きな朴葉も、花弁も雄蕊も雌蕊もみーんな入っているかと思うと、ちょっと感動しますね。全国の山林に分布し、樹高30m以上にもなりますが、あの泰山木そっくりの大きな白花や、海鼠の樣な果実も間近でじっくり観察してみたいものです・・・ 檜の林床には、霧氷になった?トリガタハンショウヅルの果実がありましたよ… ![]() ![]() |
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ネコヤナギ(猫柳)
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2008/02/13(Wed)
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きょうは真冬が舞い戻って、雪が一日中降ったり止んだり、時々吹雪にもなりました(-3.3~0.3℃)。
吹雪の中でも、川辺のネコヤナギ(ヤナギ科)は花芽を膨らませ、暖かそうな銀色の絹毛を風に靡かせていました。北海道~九州の河川の岸辺に生育する落葉低木で、春一番に芽吹く(他の柳類にも先駆けて花を咲かせる)為、春を告げる植物として生花等にも良く使われます。雌雄異株。名は、花穂が猫の毛に似ている事に因る様ですね(別名はカワヤナギ )・・・ ![]() ![]() 尚、農林土木課による「オオタカ営巣地の枯松伐採」について、「きょう(2/13)、無事に4本の伐倒を終えた」との報がありました・・・ |
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市有林(青葉の森)の枯松伐採について
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2008/02/12(Tue)
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きょうは、仙台市公園課で、今期の枯松伐採についての説明を受けました。130ha内220本以上になる様で、又、伐採後の林床等への影響;が心配されました。2/9(土)に、気になる希少種生息地等を少し廻ってみましたが、やはり伐採予定木の直下にもありました。「これから作業予定を決めて、三月中に終らせる」との事でしたが、「繁殖期」にも入りますし、悪い前例も多々あり(以前には、カザグルマやイワウチワ、昨年はキンラン等が犠牲になり、後に助けるも復活せず。「蝙蝠穴」周辺等の沢も処理木で埋められる)、不安です。重要地点の現地立会が必要かもしれませんね。「松の為」以外の為にはならないと思われる「枯松伐採」です。何とかならないものでしょうか・・・
尚、農林土木課による「オオタカ営巣地の枯松伐採」は、先刻、「明日(2/13)中に、4本伐るだけで終える」との報せがありました・・・ |
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タヌキ(狸)
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2008/02/11(Mon)
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きょうは朝から晴れて、10㎝以上あった雪も大分解けてしまいました。
草原の雪面に、タヌキ(イヌ科)の足跡がありました。よれよれジグザグしたその跡を辿って行くと、笹藪の中に溜糞もありました。世界の自然分布としては、ロシアを含むアジア極東部に限られますが、毛皮獣として移入されたものが東欧を中心に分布を広げている様です。日本では、山地~郊外の住宅地周辺にまで生息し、鼠等の小動物やミミズ、ナメクジ、昆虫類や果実も好んで採食します。青葉山では、広瀬川沿いの岩の割れ目等に巣が確認されていて、初秋に子連れの家族に出会うこともあります。夜行性にも関わらず日中も良く出現し、観察会でも何度も観察されています。笹藪等では溜糞が散見され、縄張り識別と情報交換の場になっている様です。犬・猫を起源とするジステンバーや疥癬症等の疾病に因ると思われる死体が度々確認されているのは心配ですが、この山に一次捕食者である狸が数多く生息・繁殖している事は貴重な事ですよね・・・ 青葉山からは離れますが、「杜の都の誇り」だった欅が、理不尽にも無残に伐り捨てられた青葉通りには、悲痛な貼紙が多数掲げられていましたよ… ![]() ![]() ![]() ![]() |
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二月観察会
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2008/02/10(Sun)
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きょうは第二日曜、観察会の日。と言っても、二月・八月は「青葉山の緑を守る会」としては(公式には)お休みなので、有志数名で気儘に山を漫ろ歩きました。昨夜からの雪はすっかり止んで晴れ間もありましたが、気温も高かったので(0.3~6.1℃)融けた雪がドサドサ木の枝から落ちて来て、諸に直撃された人もいました。でも、痛くはなかった様で、大笑いでした。始めは、木の芽等を観察したり、楓から滴り落ちる甘ーい「メープルシロップ」を舐めたりしていましたが、久し振りの積雪の「会」なのでと、途中から動物達の足跡を辿る事になりました。テンやキツネ、タヌキ、リスの痕跡は沢山あるのですが、ノウサギの気配がありません。心配しながら歩いて行くと、尾根道にカモシカの足跡です。「近くにいるよ!」と辿って行くと、いました! ここを縄張り(生活圏)にしている雌のアオの様です。昨年十月に、この近くで子供のカモシカが死んでいたとの事ですが、多分、このアオの子だったのでしょう。今年は、一人ぼっちの冬で、何処となく淋しげな感じでした。こちらに気付いても驚く様子もなく、少し歩いてしゃがみ込むと、何とおしっこをし始めました。ゆっくりゆっくり、し終わってもゆっくり、こちらを時々振り返りながら谷を下って行きました(お邪魔して、御免なさい)。その後は、「カラ類」等の混群を眺め、こちらに興味津々のルリビタキもじっくり観察する事ができました。空にはオオタカが、悠々と旋回しながら飛んでいましたよ・・・
来月(3/9(日))は、マンサクやセリバオウレンの花、囀る小鳥達、サンショウウオの卵等に出会える?早春の観察会になります。では又、お楽しみに・・・ ![]() ![]() ![]() ![]() |
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ヤママユ(山繭)の繭
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2008/02/07(Thu)
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きょうも、時折風花が舞ったものの、晴れて穏やかな一日でした。
枯れた小楢の枝に、ヤママユ(ヤママユガ科)の繭が下がっていました。中は空っぽでしたが、触るととてもふかふかで、カイコの繭にも、先日あったクワゴの繭にも勝る、温かく美しい輝きでした。全国の森に分布し、幼虫はブナ科のコナラ、クリ、クヌギ等の葉を食べて育ちます。日本の代表的な「野蚕」で、天蚕(テンサン)とも言われます。この繭から採取される糸(一粒から約6~700m取れるとか)は「天蚕糸」と呼ばれ、カイコの絹糸と比べて光沢に優れ、伸びが良く、その織物は丈夫で皺になり難く、暖かくて手触りも良いと言われ、「繊維のダイヤモンド」に譬えられます。世界的にも評価は高く、イタリアの有名下着屋さんの名前(yamamay)にまでなっている様です。と言っても、自然のものを無暗に採って「糸紡ぎごっこ」等しないで下さいね・・・ ![]() ![]() |
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モズ(百舌/鵙)の残骸(大鷹の食べ残し)
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2008/02/06(Wed)
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きょうは、晴れたり曇ったりの一日でした。
山道を歩いていると、バサバサッと前方から白い影が飛び去りました。飛び立った場所には、鳥の羽が散乱しています。良く見ると、生々しい血塗れの肉片や先が鉤になった嘴もあって、オオタカが今の今まで、ここでモズ(モズ科)の雄を食べていたのです。モズは「小さな猛禽」とも言われる、食物連鎖の上位に位置する鳥ですが、そんなモズもオオタカには敵わない様です。帰り道、遠くからキチキチとモズの声が聞こえていましたが、あの雄の連合いだったのでしょうか、どことなく悲しげに聞えましたよ… ![]() |
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クワゴ(桑蚕・桑子)の繭
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2008/02/05(Tue)
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きょうは晴れて、一日中風花が舞いました(-3.1~6.5℃)。
凍った池畔の桑の木に、クワゴ(カイコガ科)の繭が付いていました。枯葉に包れて少し汚れてはいますが、きらきらと透き通る繊維は、正に絹糸そのものでした。クワコとも言われ、中国で飼育改良されたカイコの野生種とされます(共通の祖先を持つ別種であるとする説もありますが)。日本の他、中国、朝鮮等に分布し、幼虫はクワを食べて育ちます。名は、幼虫が桑しか食べない事から「桑子」となった様です。カイコは「家蚕」とも言われますが、近縁種であるクワゴは、ヤママユ、ウスタビガ等と共に「野蚕」と呼ばれている様ですね・・・ ![]() |
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オオタカ営巣地での枯松伐採について (2)
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2008/02/04(Mon)
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土、日に、オオタカ営巣地周辺の枯松伐採予定地を視察・調査しましたが、やはり、営巣木に近接した所が多く、どうしても伐らざるを得ないのであれば、営巣木周辺を真先に処理するのが最善と思われました。早速、担当の方に連絡を取り、出来る限り速やかな作業と、周囲の生木の無益な伐採がない様にお願いしました。作業は、連休明けの二日間程(2/12~13?)で済むとの事でしたが、昨日もオオタカは営巣地上空を、雌雄で楽しそうに飛び回っていて、営巣地選定への影響が危惧されました。枯木と言えども、オオタカ等猛禽類の重要な止り木ですし、林床の希少種についても、未調査の部分が多く、とても心配です(又作業終了後に、報告しましょう・・・)
伐採予定木の中には、写真の様な、その必要がない様な、古い枯木も含まれていました・・・ ![]() |
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