ウワバミソウ(蟒蛇草)
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2008/05/31(Sat)
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きょうは、ほぼ一日雨降りでした(9.4~13.1℃)。
沢に沿って生えるウワバミソウ(イラクサ科)に、花が咲いていました。とても地味で小さな花なのですが、雨に濡れてキラキラしていると、ダイヤモンドの「ページェント」の様に見えました(葉っぱも欅に似ています)。北海道~九州の他中国等の、山地の谷沿い等の湿った場所に群生する多年草です。雌雄異株で、雄花(写真)には短い柄があり、雌花にはありません。名の由来は、如何にもウワバミ(蟒蛇=大蛇)が棲んでいそうな所に生えているからとか、蛇が食べ過ぎるとこの草を食べて胃腸薬代わりにするから、等と言われています。仙台等東北では、ミズ、ミズナと呼ばれ、山菜として広く利用されていて、茎を茹でてお浸しや煮物にしたり、その根元部分をを刻み叩いたり、磨り潰したりしてとろろにもします。茎の節が膨らんで珠芽状になったもの(地に落ちて新苗を作る)も、粘り気があって美味しい「ミズの実」として利用ます。但し、山菜として採る際は最低限、少量を間引く程度にするのが原則です。根ごと引き抜くのも止めて欲しいものですね。尚、正式名がミズ(イラクサ科)は、別種で毒はありませんが食べられません・・・ タニウツギも雨に濡れて、匂う様でしたよ・・・ ![]() ![]() スポンサーサイト
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ゼンテイカ(禅庭花)
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2008/05/28(Wed)
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きょうは、一日曇りでした。
沢端の小道に沿って、ゼンテイカ〔ワスレグサ科/別名ニッコウキスゲ(日光黄菅)〕が咲き出していました。木々の葉が重なり合い、大分暗くなって来た森の底で、すらりと伸びた茎頂に揺れる、花達の檸檬色の輝きは、眼にも胸にも沁み入る様です。日本の北海道~本州中部以北や南クリル等の低地~山地の草地、湿原等に生育する多年草です。尾瀬等の高層湿原の群生地は有名ですが、青葉山でも小群落が見られます。名の由来は不明ですが(中禅寺湖の庭に咲く花との説もある)、馴染み深い別名のニッコウキスゲは、「日光に咲き、葉がカサスゲ(笠萓)に似る黄花」の意だとか。一つ一つの花は、朝開花し夕方には萎む「一日花」ですが、小群落の一部や山全体では七月中も楽しむ事ができます・・・ 沢の澱みでは、トウホクサンショウウオの幼生が、やっと3cm位にオガッテいましたよ・・・ ![]() ![]() |
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ヤブデマリ(藪手毬)
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2008/05/27(Tue)
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きょうも、大体晴れました。
山の谷間に、ヤブデマリ(スイカズラ科)の花が咲いていました。米粒程の小花(雄蕊と雌蕊がある本物の花)の周りを、沢山の白い蝶(装飾花)が舞っている様でした。本州~九州の他、朝鮮南部、中国、台湾等の、山野の林縁、谷沿い等に生育する落葉小高木です。名は、薮に生え、花序が手毬の様な形をしている事に因ります。ムシカリ(オオカメノキ)に似ていますが、装飾花の花冠が四つに分れている様に見える事(五つに分れているが、一つは極端に小さい。ムシカリははっきり五裂)、ムシカリの葉の付根はハート型な事で区別できます。本州中北部の日本海側のものは葉が大きく、毛が少ないのでケナシヤブデマリとして区別されている様ですね・・・ アオゲラの雌雄が、ピョーピョーと鳴き交わしながら、忙しなく木から木へ飛び移って行きましたよ・・・ ![]() ![]() |
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サラサドウダン(更紗灯台・更紗満天星)
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2008/05/26(Mon)
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きょうは晴れ後曇って、晩方には雨が降りました。
明るい森の所々で、サラサドウダン(ツツジ科)の花が咲いていました。妖精の赤ちゃん達をあやす回転オルゴールか、舞踏会用の飾り電燈か、ガラス細工の和風鈴か、白地に赤縞模様の花々が、今にもチリンコロンカランと鳴り出しそうでした。北海道(南部)~近畿、四国の山地~高山に自生する落葉小高木です。名は、花の縦縞が更紗模様の様な「ドウダン〔枝分かれする様を結び灯台(丸木三本を緒で結び合せ、上下を広げて上に油皿を置いたもの)に準え、当て字の「満天星」は、群れ咲く花を満天の星に譬えたもの〕」ツツジの意だとか。別名はフウリンツツジ(風鈴躑躅)。花も紅葉も美しいので、観賞用に庭木や盆栽等にされ、青葉山でもつい十数年前までは、業者が組織的に盗掘を繰り返した為、大分少なくなってしまいました。高山植物ともされるこの花に、百万都市の中心近くで出会える喜びを、何時までも大切にしたいものですね・・・ 何ケ所かで、白花のタニウツギが咲いていましたよ・・・ ![]() ![]() |
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ササバギンラン(笹葉銀蘭)
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2008/05/25(Sun)
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きょうは、夜来の雨が上がって、午後には日も射しました。
明るい小楢の森に、ササバギンラン(ラン科)が咲いていました。名の通り、笹の様な伸びやかな葉と、日が射せば銀色に輝く純白の花が、とても爽やかな風情でした。北海道~九州の他、朝鮮・中国(東北)、サハリン、クリル等の、山野の林内に生育する多年草です。ギンランに似ていますが大きくて、普通茎上部の苞葉(殆ど葉と同じ形)が、花序より高く(長く)突き出しているのが特徴です。嘗てはキンラン等と共に最も身近な存在の蘭でしたが、開発や乱掘等により激減し、県のレッドデータでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。大切に護って行きたいものですね・・・ めんこいニホンリスと、暫し目が合いました。写真を撮ろうとしたら、あっと言う間に何処かに消えてしまいましたよ… ![]() ![]() |
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ミズキ(水木)
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2008/05/22(Thu)
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きょうも良く晴れて、暑い位になりました11.5~23.6℃)。
山肌のあちこちに、ミズキ(ミズキ科)の花が目立っていました。近付けば、一つ一つの花は小さく地味なものですが、それが数十も集まって棚状に咲くのですから、見事なものです。栗の花にも似た香りも強く、小さな虫達が沢山集まっていましたよ。日本の北海道~九州の他、朝鮮、中国~ヒマラヤにも分布する落葉高木です。クマノミズキにそっくりですが、葉が互生している事、花期が早い事等で区別出来ます。名は、樹液が多く、早春に枝を折ると水が滴る事に因ります。又、別名クルマミズキは、枝が車輪状に出る事から付けられました。仙台では、団子木や削り花、こけしの材として、とても馴染み深い木ですね・・・ ![]() ![]() |
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エビネ(海老根、蝦根)
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2008/05/19(Mon)
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きょうは曇りでしたが、一時薄日も射しました。
小楢の森の木陰に、今年もエビネ(ラン科)が咲いていました。大きく華やかな花の割に、味わい深く落ち着いた色調は、如何にも「和蘭の王」の風格でした。日本の北海道西南部~沖縄の他、朝鮮、中国の一部の、山野の落葉樹林下に生育する多年草です。花弁の色に変異が多く、青葉山には唇弁が薄紅色の、アカエビネと呼ばれる変種も自生しています。名は、根(偽球茎)をエビの形に見立てたもの。別名はジエビネ、ヤブエビネ。以前は何処でも普通に見られた花でしたが、1970年代後半に起ったエビネブーム時に大乱掘され、僅か数年で自生種が壊滅状態になりました。今では、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)、県カテゴリーでは絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に指定されています。青葉山の自生地は世界の、仙台の宝です。皆で大切に護って行かねばなりません・・・ 青葉山は今、何処も彼処もヒメシャガが咲き乱れていますよ… ![]() ![]() |
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アイヌハンミョウ(アイヌ班猫)
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2008/05/16(Fri)
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きょうは、朝から良く晴れました。
河原の砂地のあちこちに、アイヌハンミョウ(ハンミョウ科)がいました。あっちにもこっちにもいて、近付くと直に飛び上がって、追えば追う程先へ先へと飛んで行きます。美しいハンミョウと同じく、「道教え」とも呼ばれる所以です。こちらは一見地味に見えますが、体を翻す瞬間に見せる下面は、青い光沢があって、ドキリとさせられます。北海道~九州、対馬の他、中国、朝鮮、ウスリーの、河川上・中流域の川幅が狭い河原に生息します。天気の良い時にだけ活動し、それ以外は石の下等に隠れていると言われます。大きな顎で、他の昆虫類を捕えて食べます。河川の護岸工事等で生息地が激減していて、個体数も大幅に減少している様ですね・・・ 河岸では、オオルリの美声や涼やかなカジカガエルの声が響き、柳絮(白い綿毛に包まれた柳の種子)が牡丹雪の様に舞っていましたよ… ![]() ![]() |
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ギンラン(銀蘭)
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2008/05/10(Sat)
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きょうは曇って、寒い一日でした(9.1~12.9℃)。
赤松の林下にひっそりと、ギンラン(ラン科)が咲いていました。その変種と言われるユウシュンランにも負けぬ程地味な蘭ですが、小さいながら高貴な香りが漂うようでした。本州 ~ 九州の山地の、主に落葉樹の林床に生える多年草です。花が白いので、黄色いキンランに対して名付けられました。似ていて大きいササバギンランとは、葉や花に毛が無い事でも区別できます。嘗ては雑木林の何処にでも見られた花でしたが、開発や乱堀に因り激減し、県のレッドデータでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。ラン科植物は菌根菌と共生する特殊な生育形態を持ちますが、ギンランやキンラン等は特に菌への依存度が強い上に、特殊な土壌を要求するので、移植は不可能です。種そのものと共に、生育地をしっかり護らなければなりません・・・ 地下鉄東西線工事予定地で営巣中のオオタカは今朝も元気の様でしたが、雌の近くでは、外敵を寄せ付けまいと、雄がじっと巣を見詰ていましたよ…… ![]() ![]() |
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ヒメジャガ(姫射干、姫著莪)
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2008/05/09(Fri)
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きょうは、晴れたり曇ったりでした。
山のあちらこちらで、早くもヒメシャガ(アヤメ科)が咲いていました。可憐で気品があって、花色は澄み切った泉水を連想させます。東北南部~九州北部の、山地のやや乾いた林床等に生育する多年草です。名は、シャガに似て、それより可愛いらしい事に因ります。仙台を代表する花で、青葉山周辺では幸い何処でも普通に見られますが、国のレッドデータでは準絶滅危惧(NT)に指定される程の希少種になっています。最近めっきり聞かれなくなった、「仙台市の鳥」カッコウの鳴く頃に咲くのでカッコバナとも呼ばれていますが、この花も「市の花」です。決して無くなったりしない様に、大切に大切に守って行きたいものですね。万葉集にある「花勝見」とはこの花、との説もあります・・・ ![]() ![]() |
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ユウシュンラン(祐舜蘭)
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2008/05/08(Thu)
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きょうは、一日曇りでした。
新緑の森の林床で、草々に紛れる様にユウシュンラン(ラン科)が咲いていました。小さいけれど、良く見ればあちらでもこちらでも、、白い妖精達が手招きをしている様です。北海道~九州の山地の林内に生育しますが、その分布は非連続的で全国的にも稀です。環境の変化に極めて敏感なので、生育地周辺の僅かな変異でも消滅すると言われています。開発等で何時の間にか消えてしまったり、蘭マニアによる乱掘もあり、今や国や県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されてしまいました。国の天然記念物でもある東北大学植物園を含めた青葉山一帯は、全国的に見ても最大規模の自生地なのですが、悲しい事に、ここでも近年減少して来ています。盗掘等を決して許さず、この麗しき精霊達を、皆でいつまでも大切にして行きたいものです。名は、秋田生れの植物学者・工藤祐舜の功績を称えて付けられたそうですが、春を憂う「憂春蘭」の方が似合っている様な気がしますね・・・ 新緑の森にはヤマツツジの赤が、とても良く映えていましたよ… ![]() ![]() |
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ヤマツツジ(山躑躅)
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2008/05/04(Sun)
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今朝は霧が立ち込めて一時雨も降りましたが、昼間は晴れ間も見えました(夜は又霧雨に)。
山のあちらこちらに、ヤマツツジ(ツツジ科)が咲いていました。近付いて見ると、雀斑のホピタ(頬)辺りを一層赤らめて、オショシガル(はにかむ)様な風情です。北海道南部~九州の、低山の林縁等に生育する落葉低木です。名は「山に咲くツツジ」の意で、その「ツツジ」の由来は、「筒咲き」や「続き咲き」から変化した等々色々あって、定説は無い様です。日本全国、青葉山でも最も普通のツツジで、何方も子供の頃には、蜜を吸ったり、甘酸っぱい花弁を食べたり、飯事に使ったり、首飾りにしたり・・・の記憶があるのではないでしょうか? 只、最近では、異常気象の連続の所為か、秋にも咲く のが普通になってしまったのは、気になる所です・・・ ![]() ![]() |
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ツクバキンモンソウ(筑波金紋草)
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2008/05/03(Sat)
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きょうも晴れて、暑くなりました(13.7~22.1℃)。
森の木陰に、 ツクバキンモンソウ(シソ科)が咲いていました。名は、筑波山で初確認され、葉の紋様の美しさを金紋(金箔や金漆で描いた家紋)に譬えたとの事ですが、今まで良く分りませんでした。上から見ていては気付かなかったのですが、下から覗くと、葉が透けて金色の紋様に見えました。そればかりか、白い花の中の葯まで、砂金の粒に見えて来ましたよ。東北~四国の太平洋側の、山地のやや乾いた林床に生育する日本固有の多年草です。主に日本海側に分布するニシキゴロモの変種とされます。良く似ているものに、全体に色が薄く葉脈も紫にならないシロバナニシキゴロモがありますが、青葉山では未確認です… 抱卵中のオオタカは、今朝も何とか元気の様でしたが、その営巣地近くの崖では、ハヤブサ(環境庁レッドデータで絶滅危惧Ⅱ類)も営巣中です。地下鉄東西線等の工事は、このハヤブサにも大きな悪影響を与える事でしょう… ![]() ![]() |
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