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シャクジョウソウ(錫杖草)
2008/08/31(Sun)
 きょうは昼頃まで雨でしたが、午後は上がって日も射しました。
  薄暗い森の木陰に、シャクジョウソウ(ツツジ科) が咲いていました。 ついこの間まで暗く俯いていた顔を上げ、手を広げ微笑みながら、裸の妖精が誰かを迎えようとしていました。北海道~九州の他、北半球の温・亜寒帯の、やや暗く湿気のある林床に生育する多年草です。名は、その姿が錫杖(僧や修験者が持つ環の付いた杖)を思わせる事に因ります。花は始め下向きですが、咲き進むにつれて上向きとなり、実を付ける頃には真っ直ぐになり、乾くと4裂して多くの細かい種子を出します。同属には、ギンリョウソウモドキがあります。これら腐生植物は、葉や枯枝等を直接分解するのではなく、これらを分解する菌類から栄養分を得ています。腐生植物が数多く自生する青葉山ですが、シャクジョウソウはそれほど多くありません・・・
シャクジョウソウ 
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ヒメジャノメ(姫蛇目)
2008/08/30(Sat)
 きょうは曇って、午後には雨が降りました。
 林縁の草原で、ヒメジャノメ(・ジャノメチョウ科)の雌雄が交尾していました。どっちがどっちかは分りませんでしたが、二つ合わさると、小熊の顔の様に見えました。日本の他、朝鮮、中国中南部、ベトナム、タイ、ミャンマー等に分布し、日本亜種は、北海道渡島半島~九州(対馬、屋久島、種子島を含む)の、山地~平地の明るい林に生息します。コジャノメに良く似ていますが、翅裏の白帯が真直ぐに入ります(コジャノメはやや弧を描き、少し紫っぽい)。幼虫は、アズマネザサ、チヂミザサ、ススキ等のイネ科植物を食草にして、幼虫のまま越冬し、翌年蛹になります。花密を吸う事は少なく、腐果や獣糞等に集まる傾向が強いと言われます。名は、可愛いジャノメチョウ(翅裏に蛇の目模様のある蝶)の意・・・
 沢にはマタタビの、虫瘤になった果実(強心、利尿等に効能があると言う)が落ちていましたよ・・・
交尾中のヒメジャノメ マタタビの虫入りの実 
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セリ(芹)
2008/08/29(Fri)
 きょうは、雨の後に晴れましたが、夜には又雷雨になりました。
 森の湿地にセリ(セリ科)の花が咲いていました。雨の下、大粒の涙を溜めて、薄暗い森に白花が浮き立っていました。葉っぱを齧ると、何時も食べている馴染の香りが広がりました。日本全国の他、中国、東南アジア等ユーラシア一帯とオーストラリ等の、湿地や休耕田等に生育する湿性多年草です。名の由来は、「セリ(競り)」合って生えるから、迫りあって生えるので「セマリ(迫り)」が転訛、食べると「セリセリ」音がするから、アイヌ語(seri)からの借用等、諸説ある様です。春の七草の一つです・・・
  晩方には青葉城址の上に、久し振りの青空が広がりましたよ・・・
セリ 午後五時半頃の青空 
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ヤブハギ(薮萩)とアシグロツユムシ(脚黒露虫)の幼虫
2008/08/28(Thu)
 きょうは晴れ後曇って、午後には雨が降りました。
 草原のヤブハギ(マメ科)に、アシグロツユムシ(キリギリス科)の幼虫がいました。花に呼ばれたのか、果実に誘われたのか、鴬白緑の体に黒い筋、長い脚と触覚が素敵でした。ツユムシの仲間の幼虫は皆似ていますが、「アシグロ(脚黒)」の名の通り、脚の脛節や脚先が黒く、長い触角の所々に白点(露)があるのが特徴です。キリギリス科には肉食が多いのですが、ツユムシ類は完全植物食で色々な植物の葉、花弁、花粉等を食べています。
 ヤブハギは北海道~九州の、山地の林内に生育する多年草です。ヌスビトハギ(盗人萩/果実が盗人の足跡に似るため)の変種で、葉や花、果実は良く似ていますが、より林地を好んで北方に多く、茎は殆ど枝分かれせずに下の方に密集し、葉裏が白っぽいのが特徴です。名は、藪に多い萩の意です・・・
ヤブハギとアシグロツユムシの幼虫 ヤブハギの花と果実 
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ヤブマオ (籔苧麻・籔真麻)
2008/08/27(Wed)
 きょうは久し振りに晴れて、一週間振りの夏日になりました(19.4~26.7℃)。
 道端に、ヤブマオ(イラクサ科)が咲いていました。深海の海百合を想わせる花穂が、陽を浴びた途端に輝き出して、銀の首飾りにでも変わった様でした。北海道~九州の、山地~平地の林縁や草地等に普通に生育する多年草です。名は、藪地に生えるカラムシ(苧麻、苧、茎蒸、別名マオ、クサマオ)の意。花は7~10月に見られ、茎上部の葉腋から尾状に花軸が伸びます。雌雄同株で、雄花序は葉腋の下方に、雌花序は上方に付きます。大きな葉は毛が多く、楕円~卵形で先が尖ります・・・
 道端のオオハンゴンソウには、トラマルハナバチが来ていましたよ・・・
ヤブマオ オオハンゴンソウとトラマルハナバチ 
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ヘリグロツユムシ(縁黒露虫)
2008/08/26(Tue)
  今朝は小雨が降りましたが、直に上がって午後には少し晴れました。
  林縁の草原に、ヘリグロツユムシ(ツユムシ科)の雌がいました。雨の止み間を楽しむ様に、透かし翅をパタパタさせながら歩いていました。 本州~九州(伊豆諸島、隠岐、対馬、屋久島、南西諸島を含む)の、山地の落葉樹林の樹上、又は林縁の草上等に生息する大型のツユムシです。日本固有種で、青葉山では灯火にも飛来しますが、全国的には余り多くありません。クダマキモドキに似ていますが、名の通りの、前翅(翅の1/3程)が茶褐色に縁どられている事や、雌の産卵管、雄の尾毛の形で見分けます。8-10月に「シリリリ」と、雌雄共に鳴きます・・・
  杉の朽木には、赤味が強く美しいサマツモドキ(キシメジ科)が生えていました。昔は普通に食べていましたが、今では有毒とされています。名は、サマツ(早く出る松茸やそれに似たキノコの俗称)に似ている事に因る様です・・・
ヘリグロツユムシ サマツモドキ
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ミンミンゼミ(みんみん蝉)
2008/08/25(Mon)
 きょうも一日、小雨や霧雨が降ったり止んだりでした(18.7~20.8℃)。
歩道の脇の木の根元に、ミンミンゼミ(セミ科)の雌がいました。降頻る雨に濡れてはいましたが、周りでは雨にも負けず雄達がミンミン鳴いていて、何だか嬉しそうにも見えました。北海道南部~九州(対馬、甑島を含む)の他、朝鮮、中国等の、山地~平地や市街地にも生息し、広葉樹林の特にサクラ類やケヤキを好みます。アブラゼミ等と比べて暑さに弱く、生息する地域の夏の暑さによって体色を調節し、寒地では黒味が、暖地では緑味が強い様です。北東日本では平地でも普通に見られますが(北海道では局所的で天然記念物に指定)、南西日本ではやや標高が高い山地に生息しています。名は勿論、ミンミン鳴く蝉の意・・・
 澱橋から見る広瀬川は水嵩が増え、青葉山は霧に煙っていました・・・
ミンミンゼミ♀ 澱橋から青葉山を望む 
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ツユクサ(露草)
2008/08/24(Sun)
  きょうは、一日中雨降りでした(15.6~21.1℃)。
 道端に、ツユクサ(ツユクサ科)が咲いていました。正に露草色の花弁が雨に濡れて、青玉の様でした。日本全土の他、広くユーラシア、米東部等の、道端等に普通に生育する一年生草本です。花弁は三枚あって、青い二枚の下に、白くて小さい花弁があります。雌蕊は一本、雄蕊は六本ですが、長い二本以外(π型の三本と人型の一本)は仮雄蕊です。名は、朝顔等と同様、朝咲いた花が午後に萎む様が朝露を連想させる事に因ります。古名はツキクサ(月草・着草)で、元々染料として使われ、花弁の青色が布に「着」き易い事に由来し、それが転じてツユクサに成ったとの説もあります。古くから親しまれ、万葉集にも月草の名が九首あり、別名もホタルグサ(蛍草/蛍を飼う時籠に入れるから) 、アイバナ・アオバナ・ハナダグサ(藍花・青花・縹草/布を染めた花色から)、ボウシバナ(帽子花/苞の形から)等多数あります。又、生薬名は鴨跖草(オウセキソウ)で、解熱、利尿、解毒等に効果があり、山菜としても親しまれています・・・  
ツユクサ  
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ナガバノコウヤボウキ(長葉の高野箒)
2008/08/23(Sat)
 きょうも曇って、午後には雨になりました(15.5~16.7℃)。
乾いた山道に、ナガバノコウヤボウキ(キク科)の花が咲いていました。余り目立たない花ですが、近寄ればめんこくて、パンクな髪形の女の子にも、ポッキーの刺さった苺パフェにも見えました。宮城県以南~九州の、山野に生育する落葉小低木です。キク科には珍しい木の花で、1年目と2年目以降の葉形や枝振が大きく異なっていて、同じ植物とは思えません。1年目には卵型の葉が互生し、2年目には、細長い葉が輪生状に付きます。名は、葉が細長いコウヤボウキ(昔、高野山では竹を植えることが禁止されていたため、この枝を束ねて箒として使った事に由来)の意です。今でも、酒造過程で、醪桶から醪の泡を拭い取るのにこの箒が使われている所がある様です。宮城県が北限になっている希少種です・・・
 遊歩道の手すりのあちこちに、キマワリがいましたよ・・・
ナガバノコウヤボウキ キマワリ 
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キツネノカミソリ(狐の剃刀)
2008/08/22(Fri)
 きょうは曇って、晩方からは霧雨になりました。
 林縁に、キツネノカミソリ(ヒガンバナ科)が咲いていました。緑の中に丹色の花達が垣間見える様は、名からも連想される狐達が、草叢からこちらを覗いてでもいるかの様でした。本州~九州の他、朝鮮、中国等の、明るい林床や林縁等に自生する多年草で、北海道にも移植されたものが野生化しています。早春に水仙の様な葉を出しますが、夏には一旦葉を落し、お盆の頃に今度は茎を伸ばして花を咲かせます。ヒガンバナと同様に、有毒植物です。名は、葉の形がカミソリに似ている事に因る様です・・・
キツネノカミソリ
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植物標本作りは必要か?
2008/08/21(Thu)
 きょうは、市の公園課を訪ね、植物相調査委員会により二年に亘り進められる予定の、市内植物調査(=標本作成)について、課長、係長や野草園園長、元園長(委員会事務局長)諸氏と話し合った。 標本保管庫が野草園に設置されたのを機に、市内の緑地・公園等の植物相調査を行い、標本作りに取り組むのだとの事。この対象地には、青葉山市有林(青葉の森)も入っており、希少種の採掘・消失が危惧された。
 私達はこの十数年、多くの動植物、取分け希少種が、開発や盗掘等により、知らぬ間に消え行く現状に危機感を覚え、観察会や調査を頻繁に繰り返し、DVD「希少種たちの叫び」を作る等市民への啓発活動も行ってきた。 現在、希少種の中には、数本、中には一本のみの確認しかないものもあり、調査名目の採掘・標本作りが、種の絶滅を進める役割を果たしかねない。こんな私達の危惧に対して、「希少種の中でも少ないものは画像に止める」、との回答だったが、調査員には素人と思える方もおり、現地をご存じの方も少なく、心配の種は尽きない。出来るなら、今後は旧態依然たる調査方法(根ごと採堀する標本作り)を止めて、採取は遺伝子解析ができる種子や葉等に止め、後は全て画像・映像のみの保存にして貰いたいものだ。青葉山の「調査」に関しては、今後も情報を交換し合い、協力の要請があれば応えるとの点で合意したが、絶対に、間違いのない様にして欲しいものだ。
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雨のカナブン(金蚊)
2008/08/21(Thu)
 きょうは、雨が一日中断続的に降り続きました(17.5~20.7℃)。
 木陰の草叢に、カナブン(コガネムシ科)がいました。近くに樹液の木もなさそうなのに、金属光沢に照り光る背中に雨滴を鏤めて、何かにじっと耐えている様でした。 本州~九州(佐渡、伊豆諸島、隠岐、対馬、壱岐、五島列島、種子島、屋久島、黒島を含む)の他、朝鮮、中国等の、低地~山地に広く生息し、コナラ、クヌギ、シラカシ、ヤナギ等広葉樹の樹液を餌にしています。同じ樹液に集まるカブトムシやクワガタムシ等とは違い、完全な昼行性で、前翅を開かず、後翅だけで飛ぶのも特徴です。近縁のハナムグリ類とは違い、越冬能力がなく、成虫は一夏の一ヶ月程しか活動しません。幼虫は広葉樹の腐植物を食べ、枯木や倒木、林床の小枝や落葉の堆積物の中等で育ちます・・・
カナブン 葉の上の銀河(タケニグサ) 
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キキョウ(桔梗)
2008/08/20(Wed)
 きょうは晴れて、真夏の暑さが戻りました(21.2~32.1℃)。
 尾根の道端に、キキョウ(キキョウ科)が咲いていました。北海道~九州(奄美を含む)の他、朝鮮、中国、ウスリー等の、山野の日当たりの良い場所に生育する多年生草本です。「秋の七草※」の一つで、万葉集で詠まれている「朝貌の花」は本種だと言われています(ムクゲ、ヒルガオ等の説もあるが)。名の語源は、中国名「桔梗」をそのまま日本語音読みした古名「きちこう」が転訛したものと言われます。雌雄同花ですが雄性先熟で、雄花期、雌花期があります。開発等の環境悪化や盗掘等により激減し、環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)、宮城県版では絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に指定されています。全国的に自生種が殆ど見られなくなった今、青葉山のキキョウは私達の「宝」です・・・
※秋の七草:ハギ・ススキ・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・アサガオ(キキョウ)
キキョウ 三居沢上の展望所より見た青葉山 
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サギソウ(鷺草)
2008/08/19(Tue)
 きょうは、雨後曇って午後は晴れました。
 森の湿地に、今夏もサギソウ(ラン科)が咲いていました。名の通り、白鷺が翼を広げて舞い飛ぶような姿は、何処から見ても眩しいばかりです。本州~九州の他、朝鮮、台湾等の、日当たりの良い湿地に生育する多年草です。唇弁の後ろに長い距があって、この先に蜜が溜まるので、長い口吻を持つスズメガ科の蛾等が吸蜜に飛来する様です。開発や乱掘により激減していて(地下茎の先端にできる芋(球茎)で簡単に増殖できる上、種子による繁殖も割合容易だと言うのに、移植に最も不向きな開花期に盗掘され、殆どが枯れてしまう)、環境庁のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類(VU)、宮城県版では最上位の絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に指定されています。自生種の、百年後の絶滅確率が99%!と言う、青葉山を代表する希少種(宝物)です。いつの間にか消えてしまう事等決 して無い様に、皆で監視の目を強め、しっかり護って行きたいものです・・・
  森の縁のあちこちで、ボタンヅルの花が咲き乱れていましたよ・・・
サギソウ ボタンヅル 
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ハナイカダ(花筏)の実
2008/08/18(Mon)
 きょうは晴れて、気温も少し上がりました(18.8~26.0℃)。
 ハナイカダ(ミズキ科)に、実が生っていました。葉上の真中に乗る丸い実は、それぞれが、緑の眼の黒い瞳の様に見えます。実を一つ採って食べると、甘味が口に広がりました。北海道南西部~九州の山地の、湿った陰地等に生育する落葉低木です。、雌雄異株の花は淡緑色で、雄花は数個、雌花は1-2個、共に葉の中央に付きます。これは、葉腋から出た花序の軸が葉の主脈と癒合したものと考えられています。名は、葉の中央に付く花や実を、筏に人が乗った姿に見立てたものですが、散った桜の花弁が水に流れる様をも「花筏」と言い、その様をこの花の咲く様に準えたとの説もある様です・・・
ハナイカダ 青葉山と広瀬川(八幡五丁目から望む・真中は仮称広瀬大滝). 
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ツバメシジミ(燕小灰蝶)
2008/08/17(Sun)
 きょうは、一日雨が降ったり止んだりでした(18.2~22.0℃)。
  森の外れの草原に、ツバメシジミ(シジミチョウ科)がいました。朱色の斑とめんこい尾がお洒落でしたが、小雨に濡れて動きが鈍いのか、近付いても逃げようとしませんでした。少し開いた翅の表面は、黒くて白い縁でしたので雌ですが、雄は美しい青紫色です。北海道~九州の、平地の草原等で見られる他、亜種はユーラシアの温帯域に広く分布します。幼虫の食草は萩類、シロツメクサ、カラスノエンドウ等のマメ科植物で、幼虫のまま越冬し、年4-5回発生。成虫は3-10月に観察できます。名は、雄の翅色や後翅にある尾状突起に因んでいる様ですね・・・
  雨に、ヘクソカズラの花が濡れていましたよ・・・
ツバメシジミ ヘクソカズラ 
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ツリガネニンジン(釣鐘人参) の花
2008/08/16(Sat)
 きょうは曇り後雨で、次第に強く降り続きました(20.0~25.6℃)。
 森の外れの土手に、ツリガネニンジン(キキョウ科)が咲いていました。今にも雨が落ちて来そうな草原で、秋風とも思える涼風が吹き抜けると、花々からは、微かに震える鈴音が聞える様でした。北海道~九州の他、サハリン、クリル等の、山地の草原、林縁や池・川の堤等に自生する多年草です。根生葉は丸く長い柄がありますが、その後の茎葉は楕円形で葉柄が殆ど無い、3-4枚の輪生葉となります。開花時には根生葉は消えますが、夏~秋に刈り取られると、速やかに地上部を回復して根生葉も花茎も再生すると言う、しぶとい戦略を持っています。山菜としても有名ですが、生薬名を沙参(しゃじん)と言って、去痰・鎮咳等に効能がある薬草にもなります・・・
ツリガネニンジン 
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カワラナデシコ(河原撫子)
2008/08/15(Fri)
 きょうは曇り後晴れて、暑くなりました(23.9~30.7℃)。
 森の外れの土手に、カワラナデシコ(ナデシコ科)が咲いていました。本州~九州の他、沖縄の久米・渡名喜島や朝鮮、中国等の、日当たりの良い草原や河原等に生育する多年草です。秋の七草の一つで、万葉の頃より多くの歌に詠まれて来ました。名は、河原に生える「ナデシコ(撫し子=可愛い子供の頭を撫でる様子に共通した感情から生れたとの事)」の意で、別名のヤマトナデシコ(大和撫子)は、唐撫子(カラナデシコ)に対する名。古名の「トコナツ」は、都古奈都の意だとか、常夏(花期が長い事に因る)だとか言われている様です。 カーネーションは、この園芸品種です・・・
カワラナデシコ
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オオルリボシヤンマ(大瑠璃星蜻蜓)
2008/08/14(Thu)
きょうは、午前中は雨が降ったり止んだりでしたが、午後は上がって晴れ間もありました(23.8~27.7℃)。
 森の池に、オオルリボシヤンマ(ヤンマ科)がいました。大きくて瑠璃色が美しい雄が、池の上をクルクル巡回飛行していましたが、一見オニヤンマにも見える雌がやって来ると、眼前の岸辺で暫しお見合いしていました。北海道~九州南部の、亜高山~低山地の抽水・浮葉植物の茂る池沼に生息する日本特産種です。ルリボシヤンマに似ていますが、より低地にまで分布し、より深い森に囲まれた大きめの池沼を好むと言われ、大きく、雄は地の淡色部の青味が強い事、胸部の模様等が違う事等が識別点です。各地で生息地が破壊され、特に仙台周辺ではその多くが消滅し、県のレッドデータでは準絶滅危惧(NT)に指定されています・・・
 杉林では、真紅に耀くフシグロセンノウが咲き始めていましたよ・・・
オオルリボシヤンマ/左が♂右が♀ フシグロセンノウ 
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ヒメヤブラン(姫藪蘭)   
2008/08/13(Wed)
 きょうは、曇り時々晴れました(23.2~28.0℃)。
 尾根道の道端に、ヒメヤブラン(ナギイカダ科)が咲いていました。小さくて気付かず通り過ぎてしまいそうでしたが、近寄れば、跪いて頬ずりしたい程の可憐さでした。北海道~沖縄の他、東~東南アジアの、日当たりの良い林下や草地に生育する多年草です。名は、ヤブラン(薮蘭)に似ていて小さい事に因りますが、花数が少ないので容易に区別できます。より似ているジャノヒゲとは、花の付き方が上向きなので判別できます。種子の他、根の様に伸びる走出枝(ランナー)によっても繁殖できます・・・
  森の湿地には、コバギボウシが咲き群れていましたよ…
ヒメヤブケラン コバギボウシ 
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カノツメソウ(鹿爪草)
2008/08/12(Tue)
きょうも、曇り時々晴れでした(23.4~27.8℃)。
 森の木陰に、カノツメソウ(セリ科)が咲いていました。華奢で弱々しくも見えますが、薄暗くて花の少ない森の中では、あちらにもこちらにも銀色の花火が咲いてでもいるかの様でした。北海道~九州の、山地の林内に生育する日本固有の多年草です。名は、根の形が鹿の爪に似ている事に因りますが、葉の形が鷹の爪に似ているからとの説もある様です。別名のダケゼリ(岳芹)は、山に生える芹の様な草の意の様ですね・・・
カノツメソウ 
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オオヒラタシデムシ(大扁死出虫/大扁埋葬虫)
2008/08/11(Mon)
 きょうは、曇り時々晴れました。
 道端に、オオヒラタシデムシ(シデムシ科)がいました。雌と雄が仲良く愛を囁いていましたが、良く見れば、青灰色がかった黒い体は、美しく粋な衣裳に感じました。北海道~九州の、山地~平地に普通に見られる大型のシデムシです。生き物の死体を食べる掃除屋で、地表で暮らし、ゴミ溜めにも集まります。名は、大きく扁平で、死体があると出てくるので「死出虫」(死体を土に埋め込む習性を持つ者もあるので、「埋葬虫」と漢字表記する事もある)と付けられました。動物の死骸や糞等を食べる昆虫の仲間は、どうしても嫌われ勝ちですが、そうした物を分解し自然界に還元すると言う、非常に重要な役割を担っています。シデムシの仲間や、昨日も沢山出会ったセンチコガネ達も、森の豊かさのバロメーターで、青葉山の様に、その種類や数が多い森程豊かな環境だと言えます・・・
 三居沢の上り口には、まだキハギが咲き残っていましたよ・・・
オオヒラタシデムシ キハギ 
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八月観(視)察会
2008/08/10(Sun)
 きょうは第二日曜、観察会の日。と言っても、二月・八月は「青葉山の緑を守る会」としてはお休みなので、今回も有志数名での散策になりました。小雨が降る歩き出しでしたが間もなく上がり、後は良く晴れました。樹液の木はスズメバチだらけ、「タナゴ池」はオタマジャクシだらけでしたが、S君のお蔭でウスバカミキリにカブトムシに「池のカジカ」(ヨシノボリ?)にと・・・次々に楽しい出会いがありました。久し振りのS君は、最初から最後まで意欲満々で、他にコアオマイマイカブリ、オサムシの仲間、ゴミムシの仲間、オオミズアオ、シリアゲムシ、オオヒラタシデムシ、アカハナカミキリ、キマワリ、オオスジコガネ、ダイミョウセセリ、カラスアゲハ?にヒョウモンチョウの仲間、オニヤンマ、ムカシヤンマ、アキアカネ、青や緑、紫に輝くセンチコガネ、モンシロチョウそっくりのスジグロシロチョウの♂と筋だらけの♀、コバルトの「尾角」や虹色の体が美しいスズメガの幼虫達、ヒトリガの幼虫(黒毛虫)、ツチスガリやウスバカゲロウの巣、蟻の卵、ニホントカゲ、ニホンカナヘビ、ヤマアカガエルやタゴガエル・・・等々の昆虫や小動物達を数えきれない位見つけていました。大人だけでは、この1/10も見られなかったでしょう。ありがとね。花では、オオハンゴンソウ、ヤブガラシ、ヤマジノホトトギス、クサギ、キンミズヒキ、ヒメキンミズヒキ、ミズヒキ、ハエドクソウ、ヒヨドリバナ、コバギボウシ、ガンクビソウ、クズ、ヌスビトハギ、ツルリンドウ、アオヤギソウ、イヌガラシ、キツネノボタン、ヘクソカズラ、ダイコンソウ、ヒメヤブラン、カノツメソウ、シラヤマギク、コマツナギ、ヤマハギ、ツクシハギ、ミヤギノハギ等の他、クルマユリも咲いていましたね。果実では、カクミノスノキ、ヒメコウゾ、トチノキ、サルナシ、マンサク等が見られました。キノコは豊作で、ドクベニタケ、チシオハツ、ニオイコベニタケ、クサハツ、シロテングタケ、コタマゴテングタケ、カバイロツルタケ、コテングタケモドキ、シロオニタケ、ヒトヨタケ、ザラエノヒトヨタケ、アメリカウラベニイロガワリ、ニガイグチモドキ、ダイダイイグチ、ベニイグチ、ヒナアンズタケ、ベニウスタケ、アンズタケモドキ、フサヒメホウキタケ、ハナホウキタケ、ホコリタケ、ヒトクチタケ等の他、同定の出来ないものが一杯でした。樹液の木にはナラタケが出ていましたし、最後に出会えた、美しい真赤な二本(個?)のタマゴタケにも感動させられました。全行程を蝉時雨(エゾゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクホウシ、ニイニイゼミに道々ヒグラシが飛び出した)が降り注いでいた所為で、鳥達の声も姿もさっぱりでしたが、こんな事もあるでしょう。来月(9/9(日))は、キノコ中心の観察会になりますが、渡り途中の夏鳥達にも出会えるかも? と言う事で、又、お楽しみに・・・(カメラを忘れてしまったので、画像は昨日の「ヒメコウゾ」と持ち帰った「命果てていたミンミンゼミ」だけです)
ヒメコウゾ ミンミンゼミの♂. 
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アキノキリンソウ(秋の麒麟草)
2008/08/09(Sat)
きょうは曇り時々晴れて、少し過ごしやすくなりました(21.9~27.1℃)。
 高圧線下の森の空き地で、早くもアキノキリンソウ(キク科)が咲き出していました。花期は8~11月ですが、晩秋の遅咲きのものが多いので、吃驚です。北海道~九州の他朝鮮等の、山地や丘陵の草原や明るい森に生育する多年生の草本です。名は、秋に咲くキリンソウ(ベンケイソウ科)に似た花の意で、別名のアワダチソウは、頭花が群れ咲く様を酒を醸した時の泡に見立てたもの。でも、夏の強い日差しを浴びる様は、種小名の「黄金の鞭」にも見え、サバンナに揺れるキリン達をも彷彿させる様でした・・・
 小楢の林下には、ハイカグラテングタケ(テングタケ科)が生えていました。名の通り?灰を被った御神楽の様でもありましたが、近付けば、月面着陸直前の気分になりましたよ・・・
アキノキリンソウ ハイカグラテングタケ 
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ヤマキマダラヒカゲ(山黄斑日陰)
2008/08/08(Fri)
 きょうも晴れて、暑い一日でした(22.2~31.3℃)。
 枯れかかった小楢の木に、ヤマキマダラヒカゲ(ジャノメチョウ科)がいました。カナブンやクワガタに負けじと、数頭が盛んに樹液を吸っていました。地味ですが、如何にも日本の山(森)の蝶と言う趣で、親しみが持てます。北海道~九州の、低山地~亜高山帯の雑木林の周辺等で普通に見られます。ジャノメチョウの仲間ですから、翅の裏側には蛇の目模様が並んでいます。表側は、中々翅を開かないので、見られません。幼虫は、チシマザサ、ススキ等イネ科植物を食べます。名は、山で多く見られ、黄色の斑模様があるヒカゲチョウ(陽光を避けて曇天や夕刻に良く飛びまわるから)の意。サトキマダラヒカゲと良く似ていて(以前はキマダラヒカゲと呼ばれていましたが、分類が進み2種に分かれた)、見分けるのが大変です・・・
 樅林下には、コウモリタケ(ニンギョウタケモドキ科)が生えていましたよ・・・
ヤマキマダラヒカゲ コウネリタケとヒグラシ(空蝉). 
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クズ(葛)の花
2008/08/07(Thu)
きょうは朝から晴れ上がり、猛暑になりました(22.3~33.6℃)。
 森の外れの藪に、クズ(マメ科)の花が咲いていました。その周りは遠くまで、独特な甘い香りが漂っていました。北海道~九州の他、中国、フィリピン、インドネシア等に広く分布する蔓性の多年草です。根からは葛粉が取れますが、良品の為には清水と冬の寒さが必要で、この条件を満たした奈良の吉野葛、富山の宝達葛、宮城の白石葛等が有名です。良く繁茂するので、嫌がられる事もありますが、中国の乾燥地帯の緑化に、一役買ったりもしている様ですね・・・
 合歓の葉の上では、オオスジコガネ(大条黄金虫)が緑や紫に輝いていました。北海道~九州の、平地~山地に広く分布し、成虫は杉、松等針葉樹の葉を食べ、幼虫は土中でその根を食べます・・・
クズ オオスジコガネ 
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キンミズヒキ(金水引)とマイコアカネ(舞妓茜)
2008/08/06(Wed)
 きょうは良く晴れて、暑くなりました(23.0~29.9℃)。
 三居沢の登り口に、キンミズヒキ(バラ科)が咲いていました。微風に揺れる花穂の先には、マイコアカネ(トンボ科)が止っていました。キンミズヒキは、北海道~九州の他、朝鮮、中国、サハリン~東欧まで広く分布し、林縁や路傍等に生育する多年草です。 名は、黄色の花穂を、熨斗袋に付ける金色の水引に見立てたものです。果実には棘が沢山あって、動物等にくっ付いて散布される「ひっつき虫」の一つです。中国では、果実の刺毛の様子から、龍牙草と呼び、それが生薬(下痢、口内炎等に効果)名にもなっています。青葉山には、日本の特産種で全体に小さいヒメキンミズヒキも自生しています・・・ 
 マイコアカネは、北海道~九州の、平地~丘陵等の池沼に発生します。名は、雄の成熟個体の顔が(青)白くなり、これを舞妓さんの白い顔に見立てたものの様ですね・・・
 イヌブナの葉に真夏の日差しが注いで、眩しいばかりでした…
キンミズヒキとマイコアカネ イヌブナの葉 
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ハナビラタケ(花弁茸)
2008/08/05(Tue)
 きょうは曇りで、午後には時々晴れました(23.6~27.8℃)。
 尾根の道端に、ハナビラタケ(ハナビラタケ科)が生えていました。少し痛んではいましたが、名の通りの花弁状の株は、20cm程(30cm以上にもなる)もあり、見事でした。少し採って、酢の物にして食べましたが、独特の食感と香りがありました。夏~秋に、主に関東以北の亜高山帯の針葉樹の根元や切株に発生し、「幻のキノコ」とも呼ばれますが、青葉山では比較的普通に見られます。世界に1科1属2種あり、日本では1種のみ確認されています。最近は、抗癌効果がある等として、栽培も盛んな様ですね・・・
 樅の木の下には、チチタケが出始めていましたよ…
ハナビラタケ チチタケ
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ドウガネブイブイ(銅金蚊蚊)
2008/08/04(Mon)
 夜中の雨が上がると、お昼頃から晴れて又暑くなりました(24.2~31.9℃/二日続けての真夏日)。
 草木の葉に、ドウガネブイブイ(コガネムシ科)がいました。日没間近の川岸では、名の由来通り、あちらでもこちらでもブイブイ唸りながら飛び回っていました。北海道~九州の他、朝鮮、中国東北部等の、平地~山地に普通に見られる草食昆虫です。市街地近くの灯火にも良く集まります。成虫は広葉樹の葉を食べ、葡萄や梅の葉を食害する虫としても知られています。幼虫も、地中で植物の根を食べます。名は、銅金(=銅)色で、羽音がブイブイ(=ブンブン/関西方言とも)言う事に因ります・・・
 近くには、セマダラコガネ(コガネムシ科)もいました。全国の人家周辺等でも普通に見られ、成虫はイタドリ等色々な葉を食べます・・・
ドウガネブイブイ セマダラコガネ
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ダイコンソウ(大根草)   
2008/08/03(Sun)
 きょうは良く晴れて暑くなり、今年の最高気温になりました(23.2~32.0℃)。
 山の道端に、ダイコンソウ(バラ科)が群れ咲いていました。キツネノボタン(キンポウゲ科)にも似た花々には、キタヒメヒラタアブ(ハナアブ科)?と思われる花虻達が吸蜜に来ていました。北海道~九州の他、朝鮮、中国等の、山野の道端等に自生する多年草です。名は、羽状複葉の根生葉がダイコン(アブラナ科)の葉に似ている事に因ります。若菜を食用にする他、生薬名を水楊梅(すいようばい)と言い、 利尿、止瀉等に効果があるとされます。
 キタヒメヒラタアブは、本州~九州(対馬、壱岐を含む)に分布します。腹部が細長い小型のヒラタアブで、近似種にホソヒメヒラタアブがいますが、こちらの生息地は九州以南です・・・
ダイコンソウとキタヒメヒラタアブ?
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