オオタカ営巣・繁殖地で計画されている地下鉄東西線等「青葉山地区工事」についての意見書
|
2008/10/31(Fri)
|
下記は、きょう、仙台市等関係諸部局に提出した「仙台で唯一の、オオタカ営巣・繁殖地で計画されている地下鉄東西線等「青葉山地区工事」についての意見書」です。これは、地下鉄東西線や都市計画道路の青葉山地区諸工事の中止や見直しを求めるもので、特に、昨日報道された「営巣地からのオオタカ完全排除計画」や「竜ノ口作業道建設」は、この11月にも始められるとの事で、 「来秋までは営巣地に手を加えない」と言う、仙台市の約束に反する「暴挙」です。即刻の撤回・中止を求めます。(オオタカに関する情報部分は伏字「
仙台市長 様 仙台市交通局 局長 様 「東西線建設本部」 部長 様 仙台市建設局 局長 様 「道路部」 部長 様 「管理部」 部長 様 「建設部」 部長 様 仙台市環境局 局長 様 「環境部」 部長 様 仙台市都市整備局 局長 様 「計画部」 部長 様 環境省東北地方環境事務所 所長 様 青葉山の緑を守る会 代表 植村千枝 「地下鉄東西線、都市計画道路の建設工事を中断し、オオタカの継続調査を」 仙台で唯一の、オオタカ営巣・繁殖地で計画されている地下鉄東西線等 「青葉山地区工事」についての意見書 当会は1994年7月、青葉山市有林(青葉の森)の開発事業に抗して結成以来、当地を中心に動植物調査を繰り返してきたが、1996年7月に、当時の市長は「オオタカ(環境庁と宮城県レッドデータブックで準絶滅危惧(NT))生息と営巣の可能性」を理由に工事中止の英断を下した。 1998年からは、ほぼ青葉山全区域(竜ノ口峡谷と旧青葉山ゴルフ場を含む)を範疇に、定期的に動植物の生態調査を繰り返してきた。これは、この地域が極めて貴重な自然が残る「仙台市の宝」と言うべき場所であるにもかかわらず、地下鉄東西線をはじめ、東北大学キャンパス移転、都市計画道路などの大規模開発が予定されていたために、市民の立場からの「調査・記録」が緊要と思われたからだった。とりわけオオタカは、周年観察され、毎年のように市有林、西部国有林、東北大学植物園、竜ノ口渓谷、八木山などで営巣を繰り返してきたが、少なくも最近四年間(2005~2008年)は、東西線ルート付近を営巣地として利用し、特に一昨年からは三年続けて もし竜ノ口橋梁工事が現計画のまま実施され、それに引き続く軌道・車道の諸工事が施工された場合、絶滅危惧種であり、「杜の都」仙台の象徴ともいえるオオタカを絶滅においやり、カモシカ(国指定特別天然記念物)やテンなどの生息・往来の地「生態系の道」を分断することは必至で、大規模な土木工事による土砂流出・崩壊なども危惧されている。 しかし、当会が企画した『地下鉄東西線[青葉山地区]工事説明会』(2007年11月11日)と『地下鉄東西線[青葉山地区]工事意見交換会』(2008年3月9日)においても、二度に亘って提出した質問状への回答によっても、何ら納得できる説明が得られなかったため、ここに意見書として提出し、真摯な回答を求める。 1、 仙台市は、地下鉄東西線、都市計画道路の青葉山地区の建設を中止、あるいは、大きく見直すべきである。 2、 仙台市は少なくも、地下鉄東西線、都市計画道路の竜ノ口橋梁建設工事を中断し、周辺のオオタカの生態調査を継続し、最低限、次期繁殖期後まで営巣・繁殖地周辺工事(作業道路建設等)に着手すべきでない。 3、 仙台市は、市内周辺のオオタカの生息状況、とりわけ青葉山における生息状況を把握し、地下鉄東西線、都市計画道路建設によるオオタカ個体群への影響を客観的に評価すべきである。 4、 仙台市は、レッドデータブック県内版の改定作業を踏まえた上で、全市的な自然保護策の検討を急ぎ、仙台市として、特に青葉山とそこに生息・生育する動植物の保全に対する明確な姿勢を示すべきである。 理由書 1、当該地域におけるオオタカの営巣・繁殖地としての重要性について オオタカは、地下鉄東西線、都市計画道路の 2、当該地域の「生態系の道」としての重要性について 竜ノ口峡谷は、「広瀬川の清流を守る条例」においても「特別環境保全地区」に指定され、動物たちが奥山と青葉山東端、または広瀬川流域までを往来する生態系の極めて重要な「帯」であり、仙台市中心部の広瀬川周辺に時折カモシカやツキノワグマが出現するのもこの「命の道」が存在するお陰でもある。当会の調査においても、上記2種の他、哺乳類ではテン、イタチ、キツネ、タヌキ、アナグマ、カワネズミなど23種が確認され、自動撮影機器などにより、特にテン、イタチ、キツネ、タヌキ、アナグマ、カモシカの、頻繁な往来が記録されている。また、青葉山の豊かさ・素晴らしさの証は、「希少種の多さ」などと共に、「猛禽類が多種生息していること」であるが(12種確認、内8種が営巣・繁殖)、それは、その数千・数万倍の小動物・野鳥の生息を物語っており、その多くがこの「命の道」周辺域を利用している。地下鉄東西線や都市計画道路などが建設されることは、オオタカが消えるだけでなく生態系が大分断され、他の猛禽類やテンなど多くのアンブレラ種や希少種が地域的に絶滅してしまう。そして、バランスを失った生態系の中で、ノネズミやカラス類が増加し、植生を大きく撹乱した後自滅するだろう。野鳥や昆虫類の往来も激減し、孤立した緑地の植物相は劣悪なものへと激変するに違いない。にもかかわらず仙台市は、オオタカやハヤブサ、フクロウなどの猛禽類どころか、哺乳類の「広域的」往来調査さえ実施しないまま、諸工事を無暗に「加速的に」推し進めようとしている。 3、当該地域の景勝地としての重要性について 地下鉄東西線、都市計画道路の建設予定地である竜ノ口渓谷部は、貴重な化石群を含む竜ノ口層などを有する、何万年にも亘って造り上げられた、美しく複雑に連続する岩崖であり、世界に誇るべき名勝である。また、竜ノ口橋梁建設地周辺には、通称「人面岩」、「猿岩」、「二階滝」などの景勝地が散在しているが、仙台市が開催する各審議会、評議会などにおいて、その存在も、価値も、工事による影響も、一度も話し合われていない。また、数百歳のモミが群立する原生美林は、仙台市内で最も質の高い植生地の一つでもある。仙台市が、これらの景勝地としての価値を全く認めていないことは、言語道断と言わざるを得ない。 4 当該地域における現地説明会開催について 仙台市は、諸々の工事、とりわけ竜ノ口橋梁建設地周辺諸工事を開始する以前に、当会を含めた市民に対し、必ず現地視察と説明会を開催する義務がある。仙台市は、当会の提出した「質問状」に対する「回答」でも、「話し合い」の中でも、オオタカ営巣地の伐木や破壊の範囲についても、「人面岩」など景勝地の破壊や保存の程度についても、全く説明がない。これらの詳細な計画、予測を公表し、現地説明がない限り、いかなる工事の開始も絶対に許されない。 5、竜ノ口橋梁建設のための工事用道路について 今年中にも開始されるという、竜ノ口橋梁建設のための工事用道路建設は絶対に中止されるべきである。この工事は、オオタカの来季(2009年)からの営巣・繁殖の可能性を失わせるものであり、とりわけ八木山側の道路は、都市計画道路建設を前提にしたもので、許されない。これは、橋梁建設とは無関係の工事であり、その作業道としては、ベニ―ランド駐車場の一部を利用すれば済む筈である。作業道を計画道と一体化させることによって市道に昇格させるために、貴重な森、谷、滝、動植物などが失われるのは許されない。仙台市が、人工巣を設置した意味もなくなるのは必至であり、少なくも、オオタカの来季の営巣・繁殖状況を確認しない限り、次段階に進むべきではない。 6、当営巣地からのオオタカ完全排除計画について 仙台市は、同じ青葉山大開発事業体である東北大学と連携して、 7、都市計画道路(川内・旗立線)の必要性について 仙台市が追及する『自動車に頼らずに,「軌道系交通機関を中心としたまとまりあるまち」を目指す』という地下鉄東西線建設の意味が、ルートが重なる都市計画道路(川内・旗立線)建設とは全く矛盾するうえ、「作れば作るほど交通量が増える」との経験が全く活かされていない。結局、道路特定財源を投入して建設される当計画道は、その財源を引き出すために地下鉄東西線と抱き合わせにしたことは明白であり、それにより全く不必要な工事を行い、残される唯一の「命の道」でもある竜ノ口支流(万助沢)の繊細極まる直立崖の破壊など、青葉山の大自然破壊に決定的な駄目押しを与えることは絶対に許されず、当都市計画道路建設計画は白紙撤回されるべきである。 8、地下鉄東西線と都市計画道路のルート、特に竜ノ口橋梁立地の選定について 生態系の帯(命の道)を形成する竜ノ口峡谷を本流・支流ともに完全に分断するうえに、永年に亘りオオタカが営巣を繰り返して来た最重要な生息・繁殖域(竜ノ口本流・支流合流点周辺域)に、敢えてルートを設定したことは全く理解できない。常識的に考えて、建設を中止しない場合でも、ルートや工法の変更は不可欠であり、当会が提案した、「完全地下化」などの諸提案にも、何ら真摯に答えることも、歩み寄ることもないことは、遺憾極まる。数年間の工事延期や中断は、当然のことであるが、工事を急ぐ事業者の都合にあわせて作業を闇雲に急ぎ、何万年にも亘って営々と築き上げられた大自然を一瞬に破壊することは絶対に許されることではない。仙台市は、当文書「前書」で述べた1996年の経験を活かし、英断をもって、地下鉄東西線、都市計画道路の青葉山地区の建設を中止、見直し、あるいは、今後のオオタカを始めとした動植物調査などの結果を待つために、工事を中断すべきである。 9、仙台市の希少種保護の姿勢について 現在宮城県では、県内版レッドデータブックの改定作業が進められているが、より正確な作業が行われば、オオタカの希少性、重要性についての再評価も期待できる。また、新たに多くの種が希少種に認定されることだろう。しかし、仙台市は、動植物調査の多くの部分を、県外の環境コンサルタント会社などに発注し、正確な現況調査が行われていないのが現状だ(例:1993年「青葉山地区環境影響評価調書」とその後の当会の追加調査/数百種(内70種以上の希少種)の記載漏れ))。今回の、「地下鉄東西線事業の環境影響評価」においても、ヒメギフチョウ(環境庁レッドデータブック準絶滅危惧(NT)、宮城県カテゴリー絶滅危惧Ⅱ類(VU))の生息さえも記録されていないことは重大な問題である。仙台市は、このような動植物調査方法を改め、県内版レッドデータブック改定作業の推移を見据えたうえで、生息地の保護や回復計画を盛り込んだ「種の保存条例」や、希少種の生息地として最重要な青葉山の自然保護策を策定し、自然保護や種の保存に対する市の姿勢を明確に示すべきである。 今回、とりわけ、 スポンサーサイト
|
![]() |
コムラサキ(小紫)の実
|
2008/10/31(Fri)
|
きょうも、晴れ時々曇りでした(6.1~17.8℃)。
藪の縁に、コムラサキ(クマツヅラ科)の実が沢山生っていました。近縁のムラサキシキブやヤブムラサキと違って、みっちりした実の付きは見事なものです。岩手~沖縄の他、朝鮮、中国等の、山麓や原野の湿生地に生育する落葉低木です。7~8月、葉の付根付近に淡紅紫色の小花を多数付け、紫色の果実は美しく、庭や公園等にも良く植栽されます。南方系の種の為、青葉山では殆ど自生していませんが、野鳥に因る庭木からの播種が見られ、これも自生種ではないのかも知れません。名は、ムラサキシキブより小振りな事に因り、コムラサキシキブやコシキブ等の別名もあります。「ムラサキシキブ」として植えられるものの大部分は、この「コムラサキ」の様ですね・・・ ![]() ![]() |
![]() |
営巣地からのオオタカ完全排除計画
|
2008/10/30(Thu)
|
今朝の河北新報に、↓の記事が載った。仙台市は、同じ青葉山大開発事業体である東北大学と連携(結託)して、オオタカ営巣地からオオタカを完全排除する計画を進めている。営巣木3本と巣など「10数ヶ所に縄などを張って(オオタカが)営巣できないようにする(河北)」とのことだが、これは自然の摂理を冒涜するものであり、決して許されることではない。市交通局によれば、「オオタカは周期的に営巣地を変える(河北)」のであるから、この説から言っても「排除」の必然性は全くなく、工事を強引に早めようとする意図しか感じられない。この計画は、現営巣地での来春の営巣・繁殖の可能性を完全に失わせ、その反対に、オオタカの地域的絶滅の可能性を一気に高めることになる。当計画の、即刻の撤回・中止を求める。
![]() |
![]() |
ナラタケモドキ(楢茸擬)
|
2008/10/30(Thu)
|
今朝は冷え込みましたが(冠雪した蔵王が良く見えました)、晴れ時々曇りの穏やかな一日でした(5.3~14.1℃)。
小楢の木の幹に、ナラタケモドキ(キシメジ科)が生えていました。今年は、未だ暑い頃にちらっと見ただけでしたので、久し振りの再開でした。少し持ち帰り、味噌汁の具にして美味しく食べました。夏~秋、全国の主に広葉樹の枯木や立木周辺の地面に群生します。名の通り、ナラタケに似ていますが、柄につばを持たず、夏の早い時期から出始めます。仙台では、茎が折れやすいので、ナラタケと共に「オレミキ」等と呼ばれ親しまれています。ナラタケより食味が劣り、消化も悪い所為で「モドキ」となったとも言われますが、然程違うとも思えず、可哀想な気もします。只、軽い中毒物質を含むのは事実の様で、生食や過食は禁物で、必ず茹で零してから利用しましょう・・・ その近くでは、ムラサキシメジが出始めていましたよ… ![]() ![]() |
![]() |
シロダモ(白梻)の実と花
|
2008/10/29(Wed)
|
きょうは小雨後曇って、午後には晴れました。
尾根道のシロダモ(クスノキ科)が、実と花を付けていました。と言っても、赤くなり始めた実が生っているのは雌株で、小さな雌花は少し萎れていました(写真は掲示板)。画像↓の花は、隣に立つ雄株の雄花で、今が盛りとふさふさに咲き乱れていました。本州の秋田、宮城~南西諸島の他、朝鮮、中国等の、山地~低地の森林内に生育する常緑の中高木です。木全体に芳香ある精油を含み、種子から採油して、蝋燭の材料にします。 葉は3行脈が目立ち、裏面は灰白色で、名の由来になっています・・・ ![]() ![]() |
![]() |
キハツダケ(黄初茸)
|
2008/10/28(Tue)
|
きょうは、晴れ時々曇りでした。
樅の木の下に、キハツダケ(ベニタケ科)が生えていました。15cm程もある大きなものが、10本以上も弧を描く様に並んでいました。二本だけ引き抜いて仕舞おうとすると、白い乳液を出す傷口が見る見る中に青緑色に変化して行きました。夕飯に、醤油出汁で煮て美味しく頂きました。バター炒めも良い様ですね。秋に、全国の主にモミ類(稀にマツ類)の林内地上に発生します。名は、黄色い初茸(秋の早い内に発生する事に因る)の意。食用ですが、青葉山では余り人気がないのか、中々採られずに土に還って行きます・・・ 崖面に生える小木に、ハヤブサ(環境庁レッドデータで絶滅危惧Ⅱ類)が止まっていましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
ウメバチソウ(梅鉢草) の花
|
2008/10/27(Mon)
|
きょうは、晴れたり曇ったり小雨が降ったりで、午後には虹も見られました。
森の湿地のウメバチソウ(ユキノシタ科)が、未だ咲き残っていました。咲いていたのは数輪でしたが、それだけでも、周りに清々しさが広がりました。パラパラと散ばる花弁も、苔生した地面を白く清めている様でした。北海道~九州の他、サハリン、クリル等東アジア北部に広く分布し、亜高山帯下部~低地の日当たりの良い湿生地に生育する多年草です。全体に無毛で、根出葉はハート形で艶があり、花がなくても直に分ります・・・ あちこちで、シラキが紅葉していましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
キボシカミキリ(黄星髪切虫、黄星天牛)
|
2008/10/24(Fri)
|
きょうは、一日雨でした。
藪際に生えるマタタビの蔓に、キボシカミキリ(カミキリムシ科)がいました。雨の中、何かに耐えるかの様に、必死に蔓に縋り付いていました。本州~沖縄 (隠岐・伊豆諸島・南西諸を含む)の他、朝鮮、中国等の森林や都市郊外緑地等にも生息しています。幼虫はクワ、イチジク、ミカン等の生木を食し、成虫は灯火にも飛来します。雄の触角は長く、雌の倍以上もありますが、住んでいる場所によって、色や斑紋が異なる等、変異が大きい様ですね・・・ 一日中雨が降り続きましたが、芋煮会場では、狭くなっても未だ席取りが行われていましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
ゲンノショウコ(現の証拠)
|
2008/10/23(Thu)
|
きょうは曇り時々晴れで、一時小雨も降りました。
草原の石の上に、苔に交じってゲンノショウコ(フウロソウ科)が生えていました。種子を弾き飛ばした後の果が並ぶ様は、別名「ミコシグサ」通りの神輿の列にも、冠を載せて佇む王女達、灯籠を付けて舞う娘達にも見えました。北海道~九州の他、朝鮮、中国等の山野に自生する多年草です。名は、食べるとたちどころに薬効が現れる、「現に良く効く証拠」と言う意味で、古くから下痢止めの妙薬とされていました。小野蘭山の「本草網目啓蒙1803)」にも「根苗ともに粉末にして一味用いて痢疾を療するに効あり、故にゲンノショウコと言う」と記述されています。下痢止の他、利尿、高血圧予防、渋り腹、冷え性、血の道等に薬効があり、特に健胃整腸剤として優れた生薬とされます。夏に咲く花は、 白紫色と紅紫色のものがあり、白紫花種は東日本に、紅紫花種は西日本に多く見られる様ですね・・・ マンサクの葉が、赤くなって来ましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
マメホコリ(豆埃)
|
2008/10/22(Wed)
|
きょうは、晴れ後曇りでした。
沢端の林床の倒木に、マメホコリ(変形菌 =粘菌/ドロホコリ科 )の未熟子実体が付いていました。桃色の豆状物体は、珊瑚玉にも田螺の卵にも見えますが、触ると柔らかくて、裂けると赤い液が流れ出しました。日本の他、世界に広く分布し、朽木上に孤生・群生する変形菌です。変形菌とは、変形体(粘菌アメーバ)と呼ばれる栄養体が移動しながら微生物等を摂食する動物的性質と、子実体を形成し、胞子により繁殖するという植物的(菌類的)性質を合せ持つ、特異な生物です。生物分類法の「生物五界説」では、原生生物界(キノコは菌界)に分類されています。写真のマメホコリは、間もなく桃色から茶褐色に変化し、中も茶色の胞子に変わります・・・ オオバショウマの葉の上で、シュレーゲルアオガエルが眠っていましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
イカリモンガ(碇紋蛾)とノコンギク(野紺菊)
|
2008/10/21(Tue)
|
きょうは、朝から良く晴れました。
道端のノコンギクに、イカリモンガ(イカリモンガ科)が止まっていました。青葉山で1、2を争うめんこい蛾で、鴛鴦の銀杏羽の様な模様を見せびらかしながら、夢中で花蜜を吸っていました。北海道~九州の他、中国、朝鮮、シベリア等の山地~平地の森林に生息します。蛾の中では、最も蝶に間違えられる種です。年1~2回(5月と8月)発生しますが、青葉山では夏以降に発生し、成虫はそのまま落葉下や朽木中で越冬し、春に再び活動し始めます・・・ ![]() ![]() |
![]() |
ニシキギ(錦木) の実と紅葉
|
2008/10/20(Mon)
|
きょうは、晴れたり曇ったりの一日でした。
森の縁の道沿いで、ニシキギ(ニシキギ科)が紅葉し始めていました。その美しさに魅き寄せられて近付くと、葉にも増して鮮やかな果実達が、黒い仮種皮に惹き立てられ輝いていました。北海道~九州の他、朝鮮、中国等の、山地~平地の林下に自生する落葉低木です。紅葉が見事なので、モミジ(ニッサ(米原産ヌマミズキ科高木)とする事も)、スズランノキ(米原産ツツジ科高木)と共に世界三大紅葉樹にされているそうです(何処の誰が決めたのでしょう?不可解です)。別名のヤハズニシキギ(矢筈錦木)は、枝に付いた羽の部分を弓矢の羽(矢筈)に譬えたものの様です。果実は野鳥達に好まれ、採食後、種子を糞として排泄し、広い範囲に種子散布が行われます・・・ ![]() ![]() |
![]() |
ワレモコウ(吾木香・吾亦紅)
|
2008/10/19(Sun)
|
きょうは、曇り時々晴れでした。
スイス池(郷六溜池)の土手に、未だワレモコウ(バラ科)がありました。と言っても、花は終わっていて、集合花に見えるものは、暗紅紫色の萼のみの様でした。種子となって綿毛状になった薄と共に微風に揺れる様は、秋の深まりを強く感じさせます。北海道~九州の他、ユーラシア中北部に広く分布し、山地~平地の草原等に生育する多年生草本です。名の由来は不明ですが、インド原産の木香(キク科)に負けぬほど美しいからとか、「われもこうありたい」との思いを込めて名付けられたとか、命名する時に、この花は何色だろうかとの論議があり、皆それぞれに茶、焦茶、紫等と言い合ったが、花自身が「否!私は断じて紅です」と言い張り、選者は「花が自分で言っているのだから間違いない」として、「吾亦紅」となったとの説もあるようですね・・・ 上の池の土手は刈り込まれ、沢山あったリンドウは、一株だけになっていましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
キチジョウソウ(吉祥草)の花
|
2008/10/18(Sat)
|
きょうは、一日快晴でした。
今年も、キチジョウソウ(スズラン科)が咲き初めていました。まだ蕾かと、余り期待していませんでしたが、この数日の暖かさで一気に開花したのでしょう。この時季には珍しい艶やかな花々は、藪陰に輝いて、眩しい程でした。日本の東北南部~九州の他、中国等の山地~平地の林内に生育する常緑の多年草です。暖地性種で、県レッドリストにも記載されていますが、北限自生地の一つである青葉山でも何ヶ所かで群生しています。花が咲かない年がある事から、「咲くと吉事が起きる」等とも言われていますが、今年こそ何としても、「自然破壊」の危機が迫る青葉山に「吉報」があって欲しいものです。花言葉も「吉事」だそうですよ・・・ まだまだ紅葉には早い青葉山ですが、追廻付近では、トチノキやカツラが黄葉していましたよ・・・ ![]() ![]() きょうは、東京の某社カメラマンを案内して、竜ノ口~青葉城址~八木山~青葉山市有林を一日歩き回りました。道なき道ばかりの割に、思うものに出会えずご苦労をおかけしましたが、良い写真、紙面になる事を、期待しましょう・・・ |
![]() |
ミヤマガマズミ(深山莢蒾/深山鎌酸実) の実
|
2008/10/16(Thu)
|
きょうは、晴れたり曇ったりの一日でした。
山のあちこちに、ミヤマガマズミ(スイカズラ科)の赤い実が生っていました。赤く艶やかな果実はとても目立って、少し淋しくなった森を引き立たせていました。今は未だ酸っぱいばかりですが、晩秋を過ぎると、ほんのり甘味も加わります。北海道~九州の他、中国、朝鮮、サハリン南部等の、山地の林内や林縁に生育する落葉低木です。果実を漬け込んだ美味しい薬用酒は、疲労回復や利尿にも効能がある様ですね・・・ ![]() ![]() |
![]() |
ウワバミソウ(蟒蛇草) の株芽
|
2008/10/14(Tue)
|
きょうは、一日曇りでした。
沢沿いのウワバミソウ(イラクサ科)の茎の節々が、株芽状になっていました。赤い紐に黒光りする玉の付いた、縄文の首飾りにも見えましたが、触るとバラバラになって、草叢に落ちてしまいました。少し採って持ち帰り、さっと茹でると鮮緑色に変わって、粘り気が増して美味しく頂けました。出し汁等に漬け込んでも良い様ですね・・・ 花が僅かに残るヤブガラシには、キイロスズメバチが訪れていましたよ… ![]() ![]() |
![]() |
ドクベニタケ(毒紅茸)
|
2008/10/10(Fri)
|
今朝は霧が立ち込めましたが、昼間は数日振りに晴れました。
森の草原に、ドクベニタケ(ベニタケ科)が生えていました。お伽噺に出て来る様な赤いキノコで、試しに一欠片齧ってみると、異常な辛さに、思わず永久の眠りに就きそうでした。夏~秋に、日本全国の他、北半球一帯やオーストラリア(帰化?)の、広葉・針葉樹林等、様々な林下に発生する菌根菌です。傘は赤~ピンク色で、次第に白くなる事もあります。この仲間には似たものが多く、同定が難しいのですが、傘の表皮が剥け易く、とても辛く無臭で、襞や茎が白いのが特徴です。名は、毒のある紅色のキノコの意ですが、嘗ては無毒だとも言われていました。近年、ムスカリン類等の毒成分が確認され、生食は禁物の様です。勿論、刺激の強い辛さと苦味には、食欲も湧きませんし、日本での中毒例はない様ですが、海外では死亡例もあり、十分な注意が必要です・・・ その近くには、美しいクサギの実が沢山生っていましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
シロヨメナ(白嫁菜)の花
|
2008/10/09(Thu)
|
きょうは、雨後曇りでした。
森の林床のあちこちに、シロヨメナ(キク科)が咲いていました。一つ一つの花も株も、か弱く淋しげな雰囲気がありますが、薄暗い森に散らばる群落は良く目立って、力強さを感じます。本州~沖縄の他、台湾等の、山野の林下に生育する多年草です。地下茎が伸びて株立ちとなり、大群落も形成します。別名はヤマシロギク(山白菊)ですが、イナカギクもそう呼ばれる様ですね・・・ 森の所々には、「仙台」の名も愛しい、センダイトウヒレンが咲いていましたよ・・・ ![]() ![]() |
![]() |
フサフジウツギ(房藤空木)と拡幅道路
|
2008/10/08(Wed)
|
きょうは雨後曇って、夜には又雨になりました。
東西線工事の作業道路として拡幅された市道の法面全体に、無数のフサフジウツギ(フジウツギ科)が生えていました。花期は少し過ぎているのですが、周囲の風景に似合わない異様な光景でした。別名はブッドレア。中国が原産の落葉低木で、背丈より大きく伸びた枝先に、トラノオの様な房状の花が垂れ下がります。名は、花房が藤を思わせ、葉がウツギに似ている事に因ります。一つ一つの花そのものはとても美しいのですが、周りの自然林とは全く不釣り合いで、生態系の破壊にも繋がる外来種です。それを、さも緑化と美化に気を遣ったとでも言う様に、何百本もの伐採樹木の代わりに植え付けるとは、自然保護に対する仙台市の感覚が計り知れると思いました・・・ ![]() |
![]() |
ダイモンジソウ(大文字草) の花
|
2008/10/07(Tue)
|
きょうは、曇り時々晴れでした。
岩崖に、ダイモンジソウ(ユキノシタ科)が咲いていました。清水が滴り落ちる岩にへばり付いた花々は、近寄ると蕊が目立って、大の字と言うより弾ける飛沫の一部の様に思えました。名の由来は、花弁 5 枚中、上の 3 枚が短く下の 2 枚は長いので、花を「大」の字に準えました。別名の イワブキは、岩場に生え、葉が蕗に似る事に因ります。北海道~九州の他、中国、朝鮮、ウスリー、サハリン、クリル等の、山地の渓流沿いや湿気の多い岩場等に生育する多年草です。地理的にも垂直(標高)的にも広く分布しているので、変異の幅も多く、主に東北の山地の日本海側にはトウホクダイモンジソウ(東北大文字草)、亜高山にはミヤマダイモンジソウ(深山大文字草)等が自生しています・・・ 森のあちこちには、マムシグサの赤い実が目立っていましたよ… ![]() ![]() |
![]() |
オオタカ営巣地(地下鉄東西線、都市計画道路の路線予定地)を守ろう!
|
2008/10/05(Sun)
|
今、仙台市は、どんな反対意見にも耳を傾ける事なく、地下鉄東西線と都市計画道路の建設工事を強引に推し進めようとしています。工事によって、カモシカやテンなどが往来する「命の道(生態系の道)」が大きく分断され、取分けオオタカの仙台唯一の営巣・繁殖地(この3年間他地域での確認は0)が消滅しようとしています。何万年もかけて培われた樅の原生林も、世界的名勝・竜ノ口峡谷の景観も・・・その多くが、消えてしまいます。私達が世界に誇る、仙台で最も大切な大自然、貴重な名勝地、希少な動植物の生息・繁殖地が、間もなく失われようとしているのです。こんな事がどこの世界で、許されると言うのでしょうか?! 皆さん、現地を見てください。 そして、最後まで反抗してください・・・
↓これが、破壊される《地下鉄東西線、都市計画道路〈川内・旗立線〉の路線予定地》だ! ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ☆「青葉山の緑を守る会」の自然観(視)察会は、毎月第2日曜 午前10時30分宮教大正門前バス停集合(12時30分頃解散)。 どなたでも参加自由です (二月・八月は、「会」としてはお休みします) ★仙台市に昨年末提出した、『質問状』と市の「回答」、及び、それに対する「再質問状」とその「回答」、10/31に提出した「意見書」とその回答、12/8提出の「要望書」を公開中です。 ご意見・ご感想等は引続き、下記宛ての葉書又はaobaten@leaf.ocn.ne.jpにお届け下さい。 仙台の、この上もない「宝」を守る為、今後も決して諦めずに頑張りましょう! 〒980-0811青葉区一番町4-1-3仙台市市民活動サポートセンター内box72「青葉山の緑を守る会」 ★動植物の捕獲・盗掘は、「重」犯罪として、各法・条例で厳しく罰せられます。特に、青葉山市有林(青葉の森)や竜ノ口峡谷周辺は、「広瀬川の清流を守る条例」で「特別環境保全地区」に指定されています。監視員が常時パトロール、監視カメラも作動中です! ★「青葉山の緑を守る会ホームページ」が移転しました。 新しいURLはhttp://aobanomori.web.fc2.com/です。尚、 「青葉山の緑を守る会掲示板」はこれまで通りです。引き続き、宜しくお願い致しします。 ☆DVD第2巻「生命(いのち)あふれる青葉山・希少種たちの叫び」ができました。 このDVDを発表するにあたり、私達が心から願うことは: 『青葉山には、百万都市仙台の中心部に隣接するとは思えぬほどの豊かな自然が保たれているが、その証は希少種の多さである。しかし、その希少種たちは誰にも知られぬままに消え続けていて、間近に迫る大規模開発(地下鉄東西線、都市計画道路、東北大学移転)が、その絶滅への道に拍車をかけようとしている。数千本の木々を始め、絶滅危惧種・オオタカが一昨年一羽巣立ったモミの木も、昨年二羽巣立った別のモミの木も、今年二羽巣立った又別のモミの木も、間もなく伐採されようとしている。カモシカやテンが往き来している生態系の道も、大きく分断されてしまう。今、希少種たちは助けを求めている。このDVDを見て頂くことが、私達の身近に生きている希少種たちの存在とその危うさを知ることに繋がり、延いてはそれが「大規模開発」への歯止めになって欲しい!!』と言うことです。皆さん、是非ご覧になって(ならなくとも)「声」を上げて下さい。 既に、仙台市内の全小中学校、図書館、市民センターに配布されていますが、ご希望の方には実費(800円/郵送の場合は+送料)でお分けしていますので、aobaten@leaf.ocn.ne.jpまでお知らせください(毎月の定例観察会でも販売します)。全部で20分程ですが、今回も「きょうの青葉山」で紹介した画像が沢山出ていますよ・・・(第1巻の「生命(いのち)あふれる青葉山・・「杜の都」の魅力再発見」の方は実費600円(10分)です) *9/18(火)の、河北新報朝刊にも記事が載りました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ★オオタカの営巣地を守ろう!! ☆過去の<きょうの青葉山>は: こちらへ ☆青葉山の自然についての疑問・質問をお寄せ下さい (画像での質問は: 「青葉山の緑を守る会」掲示板 へ) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() |