バッケ(蕗の薹)が顔を出す
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2009/02/27(Fri)
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きょうは、一日曇りでした。
山の斜面に、バッケ[仙台でフキノトウの事/フキ(キク科)の花茎]が出ていました。見通しの良い褐色(白橡色?)の森では、遠くからでも翡翠の様な緑の蕾は目立っていました。町場等では大分早くから顔を出し、既に試食もさせて貰っていますが、山では今年初のお目見えです。日本全国の山野に生育するフキ(キク科)の、雌雄異株の花の蕾で、未だ葉が出る前に独立して地上に現れます。蕾を何重にも苞が取り巻き、寒さに耐える構造になっています。フキの名の由来は、冬に黄花を咲かせるので「冬黄(フユキ)」が転訛、お尻を拭く紙の代用となり「拭き」、「葉広茎(ハヒロクキ)」、「葉大草(ハオホキ)」の意から、風に揺れやすいので「葉吹き(ハフキ)」「風吹き(フフキ)」から・・・等の説がありますが、良く分らない様です。古名はフフキ。青葉山には、(自生か如何かは分りませんが)葉が1.5mもある亜種アキタブキも生育しています・・・ 見晴らしの良い丘の上に、ノウサギの糞が沢山落ちていました。いつもここで、街を眺めながら糞をしているのでしょうか・・・ ![]() ![]() |
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モミジバフウ(紅葉楓)の果実
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2009/02/26(Thu)
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きょうは大体晴れて、気温も上がりました。
森の入口に、モミジバフウ(マンサク科)の果実が落ちていました。イガイガの玉があちこちに散らばって、機雷を踏み分ける様に歩いてしまいましたが、良く見れば栗型のチョコ菓子か、洒落た耳飾りの様でした。北米中南部~中米原産で、日本には大正時代に渡来した、フウ属の落葉高木です。4月頃に、雌雄同株で、雄花と雌花の頭状花序を別々に付け、秋に集合果となります。枝にコルク質の稜(翼)ができるのが特徴です。秋の紅葉が美しいので、街路樹や公園木等に良く植栽されています。別名はアメリカフウ。尚、「楓」と書かれますが、果実を見れば分る様に、カエデ科ではなくマンサク科です。名は、葉が5-7裂する事から、「紅葉に似たフウ(楓/中国原産で、少し小さく葉が三裂するのが特徴。別名サンカクバフウ、タイワンフウ)」の意。青葉山では、大学周辺や追廻等の所々に植えられています・・・ 川岸の土手には、この間咲き始めたばかりと思っていたオオイヌノフグリが、咲き乱れていました・・・ ![]() ![]() |
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セリバオウレン(芹葉黄蓮/連)
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2009/02/24(Tue)
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きょうは、午前中は晴れ間もありましたが、晩方からは雪交じりの時雨になりました(-1.8~5.0℃)。
檜林の林床に、セリバオウレン(キンポウゲ科)が咲き出していました。薄暗く寒々した林床に、そこだけポッと明るく、小さな「スパーク花火」でも燃えているかの様でした。泉の畔の、何時もの二株だけでしたが、今年は例年より益々早い開花になりました。これは雄花ですが、普通は雄花(雄蕊のみ)と両性花(雄蕊と雌蕊からなる)が混じり合って咲きます。只、土中の養分等が不足している所では雄花ばかりと言う場合もある様です。セリバオウレンは、青葉山の(森の)地上花では、最も早く咲き出す「早春花」中の魁です・・・ ![]() ![]() |
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ノウサギ(野兎)
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2009/02/22(Sun)
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今朝は寒かったものの、昼間はほぼ晴れて暖かな一日でした(-3.5~12.3℃)。
山の斜面を歩いていると、藪からノウサギ(ノウサギ科)が跳び出しました。思わず数歩追い掛けると、一瞬立ち止まって後ろを振り返りました。悲哀ある顔にハッとしていると、直に又藪陰に消えてしまいました。本州~九州の、亜高山~低地の森林や草原等に生息する日本固有種です。食性は植物食で、葉、芽、枝、樹皮などを採食します。藪の中で繁殖し、一回1~4仔産み、早春~秋に数回それを繰り返します。夜行性で昼間は藪地等でじっとしている事が多く、巣は作りません。青葉山では、早朝などに採食する様子等が良く目撃され、私達の観察会でも幾度も観察されています。藪周辺には糞や食痕が多く見られ、時にテンやオオタカ等に襲われた残骸も確認されています。雪面には最も普通に、数多くの足跡を見る事ができます。青葉山の野兎は、亜種トウホクノウサギともされますが、冬毛は三型(褐色、斑、白色)に分れ、雪が多い年は白色型が多く、少ない年は褐色型が多い傾向がある様です。尚、青葉山ではこのところ、各工事等の影響の所為か、目撃も痕跡も急に少なくなって来ていて、今後の生存が危ぶまれています・・・(写真左は、自動撮影機で撮られたもの。右は、旧ゴルフ場内の僅かな未整地部に残された足跡) ![]() ![]() |
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サルトリイバラ(猿捕茨)
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2009/02/20(Fri)
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今朝は大雪で十数cm(榴ヶ岡の公式記録は9cm)積りましたが、後雨に変わり、午後には晴れて気温が上がりました。
藪に絡まるサルトリイバラ(サルトリイバラ科)に、実が未だ沢山生っていました。赤かった色もすっかり褪せたまま、食べられもせず、冷たい雪にじっと耐えている様でした。北海道~九州の他、朝鮮、中国、インドシナ等の、山野や林縁等の日当たりの良い場所に生育する、雌雄異株で蔓性の多年生植物(半低木)です。高さ50-200cmで、巻き髭や刺で低木等に絡み付き、4-5月に黄緑色の小花を毬状につけます。根茎等は生薬名の和山帰来、土茯苓として、腫れ物 浮腫み時の利尿、梅毒等に効果があるとされ、 中国では、癌治療にも用いられているのだとか。青葉山では、林縁や藪地の縁等に普通に見られます・・・ 雪景色の中に、一見古都の風景に見える一角がありました(右写真)。 クイズ:さて、ここは何処でしょうか? 正解は、取敢えず、きょうから始まった「杜の都、青葉山は今!」展示会場(旧1415階)最後尾にでも記しておきましょう。それとは関係なく、下記の日程で26日(木)まで行われていますので、皆さん、是非ご覧ください・・・ ![]() ![]() |
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珪化木(ケイカボク)
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2009/02/19(Thu)
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きょうも晴れ時々曇りで、一時雪も降りました。
亜炭坑跡の入口に、珪化木(ケイカボク)が落ちていました。ずしりと重い二つの化石を打ち合わせると、山に鉄琴の様な音が響きました。全世界に分布する植物化石(木化石)の一形態で、「石炭に成り損なった木」の一種とも言えます。古代に何かの原因で、土砂等に埋れた樹木の細胞中に珪酸(SiO₂/珪素、酸素、水素の化合物)が入り込んで、その内容物と置き換わり二酸化珪素(シリカ)に変化する事で、蛋白石(オパール)化又は瑪瑙化したもの、と考えられていますが、詳しいところは未だ分っていない様です。世界や国内の産地では、腕輪や数珠、装飾品等に加工され、販売もされていますが、乱獲等もあって採取量は年々減少しています。青葉山の地下には、戦前に掘られた亜炭坑が縦横に走り、その坑口跡付近には、採掘時に一緒に掘り出された珪化木が、埋れ木等と共にさり気なく落ちています(尚、広瀬川、霊屋橋下流川底の珪化木群は、天然記念物に指定)・・・ その近くには、サイハイランの果実が枯れたまま群立していました・・・ ![]() ![]() |
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二階滝も濁っていた!
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2009/02/15(Sun)
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地下鉄東西線竜ノ口橋梁建設の為の(全く必要のない)作業道路工事現場の下流にある、二階滝を訪ねると、雨も降っていないのに滝壺が濁り、泡ぷくが立っていた。これだけ山を削れは当然の事だが、その流出土砂対策は、現場直下の沢に土嚢で小ダムを作っただけの簡単なもので、又しても「広瀬川の清流を守る条例」にも反する愚策だと思われた。これに比べれば、東北大学による、旧ゴルフ場下の三居沢最上流部の工事対策の方が、まだ増しなのではないか・・・
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イワトラノオ (岩虎之尾)
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2009/02/15(Sun)
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きょうも晴れ時々曇りの、暖かい一日でした。
二階滝の滝壺の岩に、イワトラノオ (チャセンシダ科)と思われるシダが生えていました。岩に必死にへばり付いた、小さく可憐な草達が、滝の爆風に揺れ続けていました。北海道~九州の、山林中のやや薄暗い渓流沿い等の、苔の生える岩上に生育する常緑性羊歯植物です。葉は両面とも緑で無毛。葉質は薄い草質で中軸や羽軸は細く、葉は叢生して長さ5-10cm(稀に20cm程)になります。葉身は2回羽状に分裂し、小羽片は羽状に深裂します(小さいものは鈍鋸歯縁)。コバノヒノキシダ等に良く似ていて識別が難しい様ですが、羽軸表面中央が丸く盛上がらず(コバノヒノキシダは目立つ)、葉柄が短い等の特徴があります。全国的に、自然度の高い森林の破壊等により減少し、山形、秋田等多くの県のレッドリストに記載されています・・・ ![]() ![]() |
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カヤ(榧)
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2009/02/13(Fri)
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きょうは、一日曇りでした。
斜面の樅林の中に、カヤ(イチイ科)の木が生えていました。他の樅に比べて葉が光っているなと思いつつ近寄ると、硬い葉は鋭く尖り(樅の葉先は二つに割れる)、他者を寄せ付けない雰囲気でした。日本の東北南部~九州、四国の他、朝鮮半島等の、主として暖帯林に散生する常緑針葉高木です。雌雄異株で、樹高約20m、周囲3m程になります。成長はとても遅いのですが寿命は長く、耐陰性が強く、余り日の当たらない所でも育ちます。枝は対生し、葉は長さ2-3cm、幅2-3mm、光沢があり線形、扁平で先は鋭く尖ります。花期は4−5月頃で、雄花は1cm程の楕円形で、前年の葉の付根に、雌花は新枝基部の葉の付根に二つ付いて内一つが結実します。種子は翌年の秋に紫褐色に熟します。実はそのままでも食べられる他、油を絞り蛔虫や十二指腸虫等の駆除剤としても使われます。材は、基盤、将棋盤、風呂桶等に利用されます。枝葉は燻して蚊を追い払う為に使われ、名の語源も、「蚊遣り」に由来するとも言われています。青葉山には大木は殆どありませんが、温暖化の所為か、幼木は少しづつ増えている様です。又、良く似たイヌガヤ(北海道南部~九州に自生)は枝が緑で、葉が柔らかいので触っても痛くありません・・・ 川岸では、ネコヤナギ の花芽が膨らんでいました・・・ ![]() ![]() |
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トウゲシバ (峠芝・峠柴)
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2009/02/12(Thu)
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きょうも、晴れ時々曇りでした。
檜の林床に、トウゲシバ (ヒカゲノカズラ科) が生えていました。眺めていると、まるで針葉樹の幼木の様にも、大きくなり過ぎたスギゴケの様にも思えました。東~東南アジア等に広く分布し、日本では北海道~沖縄の、森林内のやや湿った日陰に生育する常緑性の多年草、シダ植物です。高さ10~20cm 。葉は細い線形で、縁に細かい鋸歯があります。胞子嚢群は、他の羊歯類と異なり、茎上部の葉腋に付きます。 他に、茎の先端付近の葉が厚くなり、ここに無性芽を生じる事でも増殖します。トウゲシバの仲間は変異が多く、日本では現在、ホソバトウゲシバ( 葉が細く長さ15mm、幅は2mm以下、葉柄はない。冷温帯性)、ヒロハトウゲシバ(葉は広く長さ20mm、幅3mm程、葉柄は不明瞭。暖帯性) 、オニトウゲシバ(葉はやや楕円形で長さは30mmまで、幅5mmまで、葉柄は明瞭。本州南部以南に自生)の三変種が認められていますが、中間的なものも多く、判別は難しい様です。名は、峠に生える芝・柴の意ですが、峠より沢沿い等の方に多く見られます。青葉山では、檜や杉の林下等に数多く群生しています・・・ 川沿いの土手には、ヒメオドリコソウが咲き出していました・・・ ![]() ![]() |
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シロハラ(白腹)
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2009/02/11(Wed)
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きょうも、晴れたり曇ったりの一日でした。
森の地上に、シロハラ(ツグミ科)がいました。採食していたらしいのですが、こちらに驚いてツリリリッと鳴いて高木に飛び移り、そのまま何処かに行ってしまいました。中国東北部~ロシア沿海地方、サハリン、クリル等で繁殖し、朝鮮、中国南部、フィリピン等で越冬する渡り鳥で、日本では主に本州以南の積雪の少ない山地~平地の林に冬鳥として渡来します(中国山地や対馬等でのが繁殖記録はある)。体長は約25cmで、雌雄はほぼ同色。名は、腹部が白っぽい事に因ります。普通は森の茂み等に潜んでいますが、市街地の公園や緑地にも姿を現します。雑食性で、昆虫やミミズ等小動物の他、木の実等も良く捕食します。青葉山には10月中旬頃に渡来し、森の中では一番多いツグミの仲間です。翌春に繁殖地へ帰りますが、5月中旬頃まで残るものもあります。越冬中は一羽で過しますが、渡りの時季には大群を作る事もあります・・・ 草原では、カシラダカの群れが採食していました・・・ ![]() ![]() |
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コジュケイ(小綬鶏)
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2009/02/09(Mon)
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きょうは、晴れたり曇ったりでした。
藪脇の土手で、コジュケイ(キジ科)が採食していました。7羽程の小群で、こちらに驚いて、次々に藪に消えて行きました。母親とその子供達と思われる家族群でしたが、近くには、父親?と思われる雄の成鳥もいました。中国原産の外来種で、1919年に狩猟鳥として東京、神奈川に放鳥されたものが自然繁殖し、今では東北以南の山野、市街地の林等に普通に生息する留鳥で、多雪地方には分布しません。体長は25㎝程で、雌雄同色ですが、雄は跗蹠に蹴爪があります。雑食性で、主に植物の葉、実等の他、昆虫やミミズ等も食べます。普段は藪等に潜み余り姿を見せませんが、繁殖期の5-6月には、雄は「ちょっと来い!」の「聞きなし」で有名な大声を発します。青葉山では藪地周辺で良く見られますが、積雪量や外敵等の影響で周期的に増減を繰り返しています・・・(画像は自動撮影機で撮られたもの) 森の外れの草原には、オオイヌノフグリが咲き出していました・・・ ![]() ![]() |
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モミジイチゴ(紅葉苺)の芽
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2009/02/03(Tue)
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きょうは、大体晴れました。
籔のモミジイチゴ(バラ科)の芽が、赤く膨らんでいました。黒白の墨絵世界を赤く切り裂く枝々は、焼火箸の様でもあり、赤い芽も大きな火の粉に見えて、触れるのが憚られました。モミジイチゴの花は白、葉は緑、実は黄ですが、冬の枝や芽は、寒い所程燃える様な真紅になります・・・ ![]() ![]() |
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スエヒロタケ(末広茸)
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2009/02/02(Mon)
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きょうは、晴れ時々曇りでした。
立ち枯れた木に、スエヒロタケ(スエヒロタケ科)が付いていました。未だ綿雪が付いているかと思う程白い毛が密生していて、小さな妖精達の手袋の様にも見えました。主として春~秋、全国の各種の枯木、倒木、用材等に極普通に発生する木材腐朽菌です。傘は白っぽい毛に覆われ、縁がギザギザで、裏面の襞が2枚ずつ重なる様に見えるのが特徴です。名は、「末広=扇」の様な形に骨(襞)が広がる様子から付けられました。食は不適とされますが、タイやインドネシア等東南アジアでは、若いものが食用にされています。しかし近年は、アレルギー性気管支肺真菌症の元凶として有名になりました。健康な人では発病しませんが、何らかの原因で抵抗力が落ちている人の肺に菌が住み付くと、喘息様症状で始まり、何回か肺炎様の一過性浸潤を伴い、末期には慢性呼吸不全の状態になるのだそうです。又一方では、免疫力を高めるとされるβ-グルカン 抗腫瘍活性 シゾフィラン が人体に吸収されやすい形で含まれている事から、健康食品等としても良く利用されている様です・・・ 雪を乗せた伐採木の重なりは、白骨の山にも見えて、べレシシャーギンの絵(戦争の帰結)を思い出しました・・・ ![]() ![]() |
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