「地下鉄東西線建設事業凍結と都市計画道路川内・旗立線事業廃止の申し入れ」と「都市計画道路川内・旗立線の必要性に関する意見書」
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2011/06/17(Fri)
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きょう、「地下鉄東西線建設事業凍結と都市計画道路川内・旗立線事業廃止の申し入れ」と「都市計画道路川内・旗立線の必要性に関する意見書」を仙台市に提出しました。大震災後、地下鉄東西線竜ノ口橋梁や都市計画道路川内・旗立線橋梁予定地周辺の、竜ノ口峡谷本流、支流の崖地が尽く崩壊している現在、東西線工事の再開や都市計画道の事業開始等以ての外だと言うことです。竜ノ口では全域数十か所で土石が沢を埋めていて、各所でダム湖が出現し、このままでは大雨や余震等による更なる災害が危惧されますし、工事が再開されれば、益々の大災害が誘発されることでしょう。今は、震災の復旧・復興に全身全霊を注ぐ時であり、東西線等の財源は、今すぐ被災者や被災地の為にこそ使ってほしいものです。「杜の都」の象徴であり核心部、「宝」である青葉山の深奥を大崩壊・大破壊させてまで、大赤字路線や不必要No1車道を作らせる訳には行きません。
![]() 地下鉄東西線建設事業凍結と都市計画道路川内・旗立線事業廃止の申し入れ 2011年6月17日 仙台市長 奥山恵美子殿 青葉山の緑を守る会代表 植村千枝 仙台市が建設を行っている地下鉄東西線建設事業を凍結し、都市計画道路川内・旗立線の事業を断念することを求め、以下のとおり申し入れます。 1.申入れの結論 現在、東日本大震災の復興事業に総力を尽くすことが急務であり、現在進行中の地下鉄東西線事業を一時凍結し、都市計画道路川内・旗立線建設事業については、実施を断念するよう申し入れます。 2.申入れの理由 3月11日の大地震や4月7日等の余震で、青葉山一帯の崖地、取分け竜の口峡谷は大崩壊し、数十か所で大崩落、各所で土砂が沢を完全に堰き止め、ダム湖となっています(写真を参照)。仙台市は、その真只中の崖を切り崩し地下鉄東西線を進めていますが、これは私達が「質問状」、「意見書」等で指摘していた通り、「この工事によって大規模崩壊が誘発」されたとも考えられ、このままでは、大雨や余震等による更なる大災害が危惧されるところです。又、当工事は、私達の指摘通り、既にオオタカの永年の営巣地を消滅させ、カモシカ等の大・中型哺乳類が激減させる等、生態系の激変と自然環境の激烈な悪化を齎しています。 しかるに、仙台市は、「地下鉄東西線の2015年度の開業予定に、影響はない」「6月20日に工事を再開する」と発表しました。竜の口峡谷周辺の地形の大変動等々、当大震災の被害の全体像すら定かでない現在(もし、把握しているのなら、公表して下さい)、この発表はとても納得できるものではありません。多くの識者の試算によれば、地下鉄東西線の需要は従前予測の6割以下、単年度収支ですら黒字にはならず、毎年一般会計から巨額の赤字補填をしなければならない、とされます。その上、この大震災の影響(荒井地区開発計画の見直し等)により、需要は大きく落ち込むものと予測されています。 又、都市計画道路川内・旗立線については、仙台市の数ある計画道路の中でも、最も不必要且問題性(最悪の自然破壊度)ある事業であり、仙台市の保護すべき自然の中でも最重要区域(万助沢~竜の口本流)を破壊すること等から、絶対に事業は廃止されなければなりません。又、当事業を地下鉄東西線事業と抱き合わせで進めようとしていることも、許されるものではありません(別紙「意見書」を参照)。 大震災に関して、仙台市は5年程度での復興を目指しているとも報道されています。復興には巨額の費用や多くの労働力等、計り知れない力を必要としますが、私達は、東西線建設を一時凍結し、又全くの無駄どころか有害でしかない川内・旗立線事業を廃止して、今は一刻も早い復旧・復興の為に全力を注ぐべき時、と考えるものです。 よって,上記の通り申し入れる次第です。 本申入れをご検討の上、速やかな回答をお願い致します。 以上 都市計画道路川内・旗立線の必要性に関する意見書 2011年6月17日 仙台市長 奥山恵美子殿 「青葉山の緑を守る会」代表 植村千枝 都市計画道路川内・旗立線は、仙台市の数ある計画道路の中でも、最も不必要で、最も問題性(自然破壊度)が大きい道路である。仙台市の保護すべき自然の中でも最重要区域にメスを入れ、生態系の帯「命の道」を形成する竜ノ口峡谷を本・支流ともに完全に分断し、永年に亘りオオタカが営巣を繰り返して来た希少な生息・繁殖域(竜ノ口本流・支流合流点周辺域)を破壊することは許されない。以下、理由としては: 一、 仙台が誇る、青葉山の豊かな自然の核心部である竜ノ口峡谷中流域を大分断、大破壊する。竜ノ口中流域は、本流と支流(万助沢)が合流し、上昇気流が起こりやすく、営巣木となるモミの巨木林が広がり、オオタカの長年の営巣地となっている。また、カモシカやテン等の生息地であり(その他、哺乳類ではツキノワグマ、イタチ、キツネ、タヌキ、アナグマ、カワネズミなど23種が確認され、自動撮影機器などにより、特にテン、イタチ、キツネ、タヌキ、アナグマ、カモシカの、頻繁な往来を確認)、移動の道「命の道」の結接点ともなっている。また、多くの小動物がこの「命の道」周辺域を利用しているお陰で、オオタカ以外にも多種の猛禽類が生息している (12種確認、内8種が営巣・繁殖)。ヒメギフチョウ(環境庁レッドデータブック準絶滅危惧(NT)、宮城県カテゴリー絶滅危惧Ⅱ類(VU))等の希少種も数多く確認されている。 この「仙台の宝」と言うべき区域を破壊することは許されない。 二、 当計画道路は、地下鉄東西線とルートが重なることから、仙台市が追及する『自動車に頼らずに,「軌道系交通機関を中心としたまとまりあるまち」を目指す』という方針とは全く矛盾し、地下鉄東西線の採算性にも大きく(悪)影響を与えることが予想される。また、「作れば作るほど交通量が増える」との経験が全く活かされていない。 三、 当計画道路ルートの大部分は、「広瀬川の清流を守る条例」において「現在の環境を保全することが特に必要な(規則第十条)」特別環境保全区域にあり、風致保安林にも指定されている。条例を制定した市がそれを自ら解除し、工事を許可し、何万年にも亘って作り上げられた美林や景観、地形を一瞬に破壊することは許されることではない。 四、 竜ノ口本流の橋梁周辺は、オオタカ営巣・繁殖地であるとともに、通称「人面岩」、「翁岩」、「猿岩」、「二階滝」などの景勝地が散在しているが、仙台市が開催する各審議会、評議会などにおいて、その存在も、価値も、工事による影響も、未だに話し合われていない。又、支流の万助沢は、繊細極まる直立崖が細かく蛇行し、取り残された細い尾根には様々な草木が盆栽状に張り付いて、類希なる景観が作り上げられている。万助沢に手を加えることは、この美しく連続した岩崖の大規模崩壊をもたらすことは必至である。本・支流ともに、貴重な化石群を擁し、数百歳のモミが群立する原生美林は、仙台市内で最も質の高い植生地の一つでもある。 五、 今回、3月11日の大地震やその後の余震で、竜の口峡谷周辺は大崩壊しているが、これは当会の指摘通り、「この工事によって大規模崩壊が誘発」されたとも考えられ、今後、大雨や余震等による更なる大災害が危惧される。それでなくても、東西線工事が、生態系の激変と自然環境の激烈な悪化を齎しつつある現在、全くの無駄どころか有害でしかない川内・旗立線事業は即刻廃止されるべきであり、今仙台市は一丸となって、一刻も早い復旧・復興の為に全力を注ぐべき時である。 結論、当計画道路の建設は、地下鉄建設や東北大学キャンパス移転などで大打撃を受けている青葉山の大自然破壊に、決定的な駄目押しを与えるものでしかなく、市民の血税だけが浪費されるものであり、必要性は皆無である。 当計画は、白紙撤回されなければならない。 大震災の復興対策等、大変お忙しいところとは思いますが、ご検討の上、速やかな回答をお願い致します。 以上 スポンサーサイト
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コメント |
- 申し入れ・意見書に敬意 -
てん様 竜の口峡谷周辺の調査、猛禽類をはじめ動物、植物、昆虫類などの調査に敬意を表します。 行政関係者、環境省など、どこの部署にも実行できない危険を伴う調査をされた長年のご苦労に、感謝の気持ちでおります。 今後も、安全に配慮なさいますように、お祈りします。
2011/06/18 10:47 | URL | すずめのこ #SNSZ3Mro[ 編集]
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