きょうは、昨日からの雨も未明には上がり、ほぼ曇天ではありましたが穏やかな観(視)察会になりました(8.2~12.4℃/西北西風)。2.13の地震(大震災の余震)による被害や、この所連続する「松枯れ」「楢枯れ」等々の伐採作業と当会の対応等、近況報告の後、早速出発です。遥か雪の山々を眺めながら、今が盛りと咲き零れるマンサクの下、笹類等識別しながら進むと、きょう配布の資料でも取り上げた、「楢枯れ」処理の伐採現場が続きます。伐られた楢は、玉切り・棚積み・ビニルシートに覆われ薬剤燻蒸さているのですが、その周囲の林床は刈り払われ、灌木は勿論、樅や楓等中高木まで広く伐採されています。自然破壊の激烈さに皆驚き、怒り、「何故他の方法ができなかったのか?}{車道沿いなのに何故搬出できなかったのか?」等々多くの疑問が湧きました。破壊を免れた周囲には、アブラツツジ、トウゴクミツバツツジ、ヤブムラサキ、ホツツジ等々、レッドリスト記載他の貴重灌木が生育し、多くの希少種が失われたことが解りましたし、木々に依存する希少ラン科植物等の生育存続も危惧されました。ブナの多い森は森閑として、林床には片栗の葉が無数に顔を出し、中には薄紅に染まった花芽を出しているものもありました。檜林に入ると、ショウジョウバカマのロゼットが広がり、花芽は硬いものの開花が待ち遠しくなりました。同様に広がるシシガシラ等観察しつつ進むと、例年なら未だ少数のセリバオウレンが、早くも無数に咲き綻び、夜空の星々の様な煌きを見せていて、皆で心躍らせしました。沢沿いには古道の跡が遺り、古の人々の往来に想いを馳せました。
花ではその他、アズマスゲ、バッケ(フキノトウ)、コハコベ、ヒメオドリコソウ、ケヤマハンノキ、ツノハシバミやシュンランの花芽、植栽のサザンカ、ツバキ、アセビ等が見られました。果実では、ミヤマガマズミ、リョウブ、ヒメヤブラン、オオバジャノヒゲ、アオキ等、虫瘤ではマンサクメイガフシ等が見られ、クワコ、ヤママユやウスタビガの繭、ヤマトゴミグモの卵嚢もありました。キノコでは、赤松に出ていたイタチナミハタケやヒトクチタケ、カワラタケ、サルノコシカケの仲間等、野鳥は少なかったものの、ヒガラ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、エナガ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、トビ他、動物では、カモシカの角擦痕、イノシシのラッセル痕、テンの糞、土竜塚、ニホンリスの食痕(オニグルミ、アカマツ等)等が見られました。
きょうは、緊急課題の「ナラ枯れ」対策について考える視察を主として歩きましたが、大震災から10年目の直後でもあり、当山を始め様々な自然破壊の状況を考えたりしつつも、春到来の喜びを感じるひと時ともなったのではないでしょうか?

尚、解散後に理事会を開催、「ナラ枯れ」対策について議論し、先ずは「要望書」を提出し、自然保護を第一とした森林管理を求めることを決議、又、NPO法人年度末の提出書類の検討、今後の活動への提案等を話し合いました。
さて、来月(4/9)は、カタクリ、ショウジョウバカマ、シュンランにイワウチワと、早春の花々が一斉に咲き乱れている事でしょう? お楽しみに・・・
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