オオタカ営巣・繁殖地で計画されている地下鉄東西線等「青葉山地区工事」についての意見書
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2008/10/31(Fri)
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下記は、きょう、仙台市等関係諸部局に提出した「仙台で唯一の、オオタカ営巣・繁殖地で計画されている地下鉄東西線等「青葉山地区工事」についての意見書」です。これは、地下鉄東西線や都市計画道路の青葉山地区諸工事の中止や見直しを求めるもので、特に、昨日報道された「営巣地からのオオタカ完全排除計画」や「竜ノ口作業道建設」は、この11月にも始められるとの事で、 「来秋までは営巣地に手を加えない」と言う、仙台市の約束に反する「暴挙」です。即刻の撤回・中止を求めます。(オオタカに関する情報部分は伏字「
仙台市長 様 仙台市交通局 局長 様 「東西線建設本部」 部長 様 仙台市建設局 局長 様 「道路部」 部長 様 「管理部」 部長 様 「建設部」 部長 様 仙台市環境局 局長 様 「環境部」 部長 様 仙台市都市整備局 局長 様 「計画部」 部長 様 環境省東北地方環境事務所 所長 様 青葉山の緑を守る会 代表 植村千枝 「地下鉄東西線、都市計画道路の建設工事を中断し、オオタカの継続調査を」 仙台で唯一の、オオタカ営巣・繁殖地で計画されている地下鉄東西線等 「青葉山地区工事」についての意見書 当会は1994年7月、青葉山市有林(青葉の森)の開発事業に抗して結成以来、当地を中心に動植物調査を繰り返してきたが、1996年7月に、当時の市長は「オオタカ(環境庁と宮城県レッドデータブックで準絶滅危惧(NT))生息と営巣の可能性」を理由に工事中止の英断を下した。 1998年からは、ほぼ青葉山全区域(竜ノ口峡谷と旧青葉山ゴルフ場を含む)を範疇に、定期的に動植物の生態調査を繰り返してきた。これは、この地域が極めて貴重な自然が残る「仙台市の宝」と言うべき場所であるにもかかわらず、地下鉄東西線をはじめ、東北大学キャンパス移転、都市計画道路などの大規模開発が予定されていたために、市民の立場からの「調査・記録」が緊要と思われたからだった。とりわけオオタカは、周年観察され、毎年のように市有林、西部国有林、東北大学植物園、竜ノ口渓谷、八木山などで営巣を繰り返してきたが、少なくも最近四年間(2005~2008年)は、東西線ルート付近を営巣地として利用し、特に一昨年からは三年続けて もし竜ノ口橋梁工事が現計画のまま実施され、それに引き続く軌道・車道の諸工事が施工された場合、絶滅危惧種であり、「杜の都」仙台の象徴ともいえるオオタカを絶滅においやり、カモシカ(国指定特別天然記念物)やテンなどの生息・往来の地「生態系の道」を分断することは必至で、大規模な土木工事による土砂流出・崩壊なども危惧されている。 しかし、当会が企画した『地下鉄東西線[青葉山地区]工事説明会』(2007年11月11日)と『地下鉄東西線[青葉山地区]工事意見交換会』(2008年3月9日)においても、二度に亘って提出した質問状への回答によっても、何ら納得できる説明が得られなかったため、ここに意見書として提出し、真摯な回答を求める。 1、 仙台市は、地下鉄東西線、都市計画道路の青葉山地区の建設を中止、あるいは、大きく見直すべきである。 2、 仙台市は少なくも、地下鉄東西線、都市計画道路の竜ノ口橋梁建設工事を中断し、周辺のオオタカの生態調査を継続し、最低限、次期繁殖期後まで営巣・繁殖地周辺工事(作業道路建設等)に着手すべきでない。 3、 仙台市は、市内周辺のオオタカの生息状況、とりわけ青葉山における生息状況を把握し、地下鉄東西線、都市計画道路建設によるオオタカ個体群への影響を客観的に評価すべきである。 4、 仙台市は、レッドデータブック県内版の改定作業を踏まえた上で、全市的な自然保護策の検討を急ぎ、仙台市として、特に青葉山とそこに生息・生育する動植物の保全に対する明確な姿勢を示すべきである。 理由書 1、当該地域におけるオオタカの営巣・繁殖地としての重要性について オオタカは、地下鉄東西線、都市計画道路の 2、当該地域の「生態系の道」としての重要性について 竜ノ口峡谷は、「広瀬川の清流を守る条例」においても「特別環境保全地区」に指定され、動物たちが奥山と青葉山東端、または広瀬川流域までを往来する生態系の極めて重要な「帯」であり、仙台市中心部の広瀬川周辺に時折カモシカやツキノワグマが出現するのもこの「命の道」が存在するお陰でもある。当会の調査においても、上記2種の他、哺乳類ではテン、イタチ、キツネ、タヌキ、アナグマ、カワネズミなど23種が確認され、自動撮影機器などにより、特にテン、イタチ、キツネ、タヌキ、アナグマ、カモシカの、頻繁な往来が記録されている。また、青葉山の豊かさ・素晴らしさの証は、「希少種の多さ」などと共に、「猛禽類が多種生息していること」であるが(12種確認、内8種が営巣・繁殖)、それは、その数千・数万倍の小動物・野鳥の生息を物語っており、その多くがこの「命の道」周辺域を利用している。地下鉄東西線や都市計画道路などが建設されることは、オオタカが消えるだけでなく生態系が大分断され、他の猛禽類やテンなど多くのアンブレラ種や希少種が地域的に絶滅してしまう。そして、バランスを失った生態系の中で、ノネズミやカラス類が増加し、植生を大きく撹乱した後自滅するだろう。野鳥や昆虫類の往来も激減し、孤立した緑地の植物相は劣悪なものへと激変するに違いない。にもかかわらず仙台市は、オオタカやハヤブサ、フクロウなどの猛禽類どころか、哺乳類の「広域的」往来調査さえ実施しないまま、諸工事を無暗に「加速的に」推し進めようとしている。 3、当該地域の景勝地としての重要性について 地下鉄東西線、都市計画道路の建設予定地である竜ノ口渓谷部は、貴重な化石群を含む竜ノ口層などを有する、何万年にも亘って造り上げられた、美しく複雑に連続する岩崖であり、世界に誇るべき名勝である。また、竜ノ口橋梁建設地周辺には、通称「人面岩」、「猿岩」、「二階滝」などの景勝地が散在しているが、仙台市が開催する各審議会、評議会などにおいて、その存在も、価値も、工事による影響も、一度も話し合われていない。また、数百歳のモミが群立する原生美林は、仙台市内で最も質の高い植生地の一つでもある。仙台市が、これらの景勝地としての価値を全く認めていないことは、言語道断と言わざるを得ない。 4 当該地域における現地説明会開催について 仙台市は、諸々の工事、とりわけ竜ノ口橋梁建設地周辺諸工事を開始する以前に、当会を含めた市民に対し、必ず現地視察と説明会を開催する義務がある。仙台市は、当会の提出した「質問状」に対する「回答」でも、「話し合い」の中でも、オオタカ営巣地の伐木や破壊の範囲についても、「人面岩」など景勝地の破壊や保存の程度についても、全く説明がない。これらの詳細な計画、予測を公表し、現地説明がない限り、いかなる工事の開始も絶対に許されない。 5、竜ノ口橋梁建設のための工事用道路について 今年中にも開始されるという、竜ノ口橋梁建設のための工事用道路建設は絶対に中止されるべきである。この工事は、オオタカの来季(2009年)からの営巣・繁殖の可能性を失わせるものであり、とりわけ八木山側の道路は、都市計画道路建設を前提にしたもので、許されない。これは、橋梁建設とは無関係の工事であり、その作業道としては、ベニ―ランド駐車場の一部を利用すれば済む筈である。作業道を計画道と一体化させることによって市道に昇格させるために、貴重な森、谷、滝、動植物などが失われるのは許されない。仙台市が、人工巣を設置した意味もなくなるのは必至であり、少なくも、オオタカの来季の営巣・繁殖状況を確認しない限り、次段階に進むべきではない。 6、当営巣地からのオオタカ完全排除計画について 仙台市は、同じ青葉山大開発事業体である東北大学と連携して、 7、都市計画道路(川内・旗立線)の必要性について 仙台市が追及する『自動車に頼らずに,「軌道系交通機関を中心としたまとまりあるまち」を目指す』という地下鉄東西線建設の意味が、ルートが重なる都市計画道路(川内・旗立線)建設とは全く矛盾するうえ、「作れば作るほど交通量が増える」との経験が全く活かされていない。結局、道路特定財源を投入して建設される当計画道は、その財源を引き出すために地下鉄東西線と抱き合わせにしたことは明白であり、それにより全く不必要な工事を行い、残される唯一の「命の道」でもある竜ノ口支流(万助沢)の繊細極まる直立崖の破壊など、青葉山の大自然破壊に決定的な駄目押しを与えることは絶対に許されず、当都市計画道路建設計画は白紙撤回されるべきである。 8、地下鉄東西線と都市計画道路のルート、特に竜ノ口橋梁立地の選定について 生態系の帯(命の道)を形成する竜ノ口峡谷を本流・支流ともに完全に分断するうえに、永年に亘りオオタカが営巣を繰り返して来た最重要な生息・繁殖域(竜ノ口本流・支流合流点周辺域)に、敢えてルートを設定したことは全く理解できない。常識的に考えて、建設を中止しない場合でも、ルートや工法の変更は不可欠であり、当会が提案した、「完全地下化」などの諸提案にも、何ら真摯に答えることも、歩み寄ることもないことは、遺憾極まる。数年間の工事延期や中断は、当然のことであるが、工事を急ぐ事業者の都合にあわせて作業を闇雲に急ぎ、何万年にも亘って営々と築き上げられた大自然を一瞬に破壊することは絶対に許されることではない。仙台市は、当文書「前書」で述べた1996年の経験を活かし、英断をもって、地下鉄東西線、都市計画道路の青葉山地区の建設を中止、見直し、あるいは、今後のオオタカを始めとした動植物調査などの結果を待つために、工事を中断すべきである。 9、仙台市の希少種保護の姿勢について 現在宮城県では、県内版レッドデータブックの改定作業が進められているが、より正確な作業が行われば、オオタカの希少性、重要性についての再評価も期待できる。また、新たに多くの種が希少種に認定されることだろう。しかし、仙台市は、動植物調査の多くの部分を、県外の環境コンサルタント会社などに発注し、正確な現況調査が行われていないのが現状だ(例:1993年「青葉山地区環境影響評価調書」とその後の当会の追加調査/数百種(内70種以上の希少種)の記載漏れ))。今回の、「地下鉄東西線事業の環境影響評価」においても、ヒメギフチョウ(環境庁レッドデータブック準絶滅危惧(NT)、宮城県カテゴリー絶滅危惧Ⅱ類(VU))の生息さえも記録されていないことは重大な問題である。仙台市は、このような動植物調査方法を改め、県内版レッドデータブック改定作業の推移を見据えたうえで、生息地の保護や回復計画を盛り込んだ「種の保存条例」や、希少種の生息地として最重要な青葉山の自然保護策を策定し、自然保護や種の保存に対する市の姿勢を明確に示すべきである。 今回、とりわけ、 スポンサーサイト
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コメント |
- 仙台市の国語力と違法性の認識 -
仙台市のホームページに『青葉山地区実施事業におけるオオタカ保全計画書』が掲載されています。 「事業地から200mの範囲内(以下「影響範囲内」という)での営巣を回避し、人工巣等への移動を促すため、影響範囲内にある猛禽類の古巣や、オオタカが営巣場所として好む樹木への営巣防止措置を実施します」という文章を何気なく読んでおりましたが、なんか変な文章で持って回った言い方です。仙台市の国語力を疑っておりました。 「猛禽類の古巣」という言い方は「オオタカの古巣」のことなのですがそれを無理に避けた言い方です。 「オオタカが営巣場所として好む樹木」というのも本当は「オオタカがここ数年連続して営巣し、昨年、今年と連続して2羽の雛が巣立った樹木」のことです。 仙台市の国語力から見えてくるものは「仙台市が違法性を認識している」ということです。
2008/11/10 16:02 | URL | すずめのこ #SNSZ3Mro[ 編集]
- 美しい日本を愛する心 -
てん様 立派な意見書を提出なさったのですね。 仙台市がどのような対応をするのか、しっかり見つめたいと思います。 日本が本当の民主主義国家なのか、曖昧な言論の陰で一部勢力が権力を弄んでいるだけなのか、その対応で、はっきり分かるでしょう。 「町興し」は必要なものですが、その美名の陰で、法律が曲げられるはずはありません。 このところ卑猥な書き込みが多数見受けられますが、 何者かが妨害しようと焦っているようですね。エロ、グロ、ナンセンス、言葉の暴力によって、何を守ろうとしているのでしょうか? 青葉山の緑を守る会の皆様、どうぞ、妨害に負けずにオオタカや杜の都をお守りください。
2008/11/02 19:06 | URL | すずめのこ #SNSZ3Mro[ 編集]
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